2021/04/01
リュープリン使用患者への“お詫び文書”を拒む本当の理由
武田薬品が恐れる「抗がん剤欠品」患者訴訟
カテゴリ:企業・経済
切り売りの果て、もはや目ぼしい資産が枯渇しそうな勢いの武田薬品。プロパー取締役の岩崎真人は国内事業担当から外される中、昨夏から続くドル箱抗がん剤「リュープリン」の欠品問題は......。
3月末、武田薬品工業でプロパーただ一人の取締役、岩崎真人が国内事業(JPBU)の責任者から外された。2012年に医薬営業本部長に就いた岩崎だが、近年の武田の国内事業は受難が続く。
18年にはモルヒネなど注射用麻薬製剤の回収騒ぎ、昨年6月にはFDA(米食品医薬品局)から抗がん剤「リュープリン」の生産工程の不具合に対する警告を受け、医療現場では今も欠品が続く。さらに翌7月には後発薬合弁会社、武田テバファーマの主力工場並びに大部分の販売品目を日医工に譲渡と、岩崎はまさに満身創痍の末に〝お払い箱〟となった。
それでも役員報酬は2億9700万円(20年3月期)なのだから、本人は御の字だろう。片や社長CEO(最高経営責任者)のクリストフ・ウェバーは20億7300万円(同)。中堅幹部は「役員たちは超高額報酬を得ながら、株価はピーク時の半値」と憤る。
時価総額は第一三共に抜かれ、中外製薬には7000億円近くも水を開けられている。しかも1月には、一時的とはいえ、00年創業で製薬会社マーケティング支援のエムスリーにまで抜かれてしまった。そんな中、6月の株主総会に向けて何としても株価を維持・上昇させたい経営陣は、なりふり構わずの手段に打って出ている。
3月、19年5月にUBS証券アナリストから鳴り物入りで招聘したIR(投資家向け広報)担当の関篤史をシンガポールに異動。それに先立つ1月には株価対策として、従業員持株会への会社からの奨励金(補助率)を最低3%から最大20%に引き上げた。ところが、これほど好条件でも「従業員の半分しか持株会に入ろうとしない」(前出中堅幹部)というのである。
......続きは「ZAITEN」2021年5月号で