「日本はもはや友好国ではない」
新聞が書かなかった「江沢民」の隠されたメッセージ
 江沢民が繰り返し歴史認識で日本を牽制したから訪日が不成功に終わったと解釈するのは皮相すぎる。会談が失敗したのは両国首脳部で第三国を含む戦略的な外交戦略に話し合いが深められなかったためだ。そのキーワードが「人民元切り下げはしない」と「朝鮮半島有事」である。なぜこの種の話し合いはなかったのか。
 すでに中国首脳にとって、人民元の切り下げの有無や朝鮮半島有事への対処というテーマは、日本と協議すべき外交テーマではないのである。こうしたグローバルで戦略的な話し合いは米国とすればいい。江沢民と小渕首相の会談が実りあるものにならなかった理由はここにある。日本パッシング(日本はずし)である。