【「ZAITEN」2020年1月号】Tポイントカード「退会後も個人情報漏洩疑惑」記事無料公開

カテゴリ:

 11月26日付のブログ記事《【「ZAITEN」1月号】Tポイントカード「退会しても個人情報流出」疑惑》でお知らせした通り、退会届を出した後も個人情報が提携先と共有されている疑いが浮上したTポイントカード。本日12月2日発売の小誌「ZAITEN」2020年1月号の連載企画「新クレーマーズレポート」で詳報しています。

 そんな中、Tカードを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)はブログ掲載直後の11月26日午後に、同問題に関するお詫びのリリース《「届出書」のご郵送によるTカード退会手続きにおける弊社不備に関するお詫び》を発表。同リリースでCCCは〈一部の方につきTカード退会手続きの一部が完了されていない事象が確認され〉たとしていますが、当初は545名が該当すると発表しておきながら、29日には628名に増加したと訂正を出し、実態を把握できているのか依然不透明なままです。

 ところが、CCCが「退会手続きの不備」としている、この問題。当初、CCC側は退会手続きを行った利用者の問い合わせに対して合理的な説明をしなかった上、小誌編集部の取材に対しても、広報担当者が不在など、およそ膨大な個人情報を扱う企業とは思えないような対応に終始しました。そして、11月の回答期限を超えてもなお、CCCは当方が納得できる回答を出さぬまま、小誌記事掲載に至ったというのが取材の経緯です。

 その後、小誌1月号の編集作業が終わり、発刊を待つだけになった11月26日に突如、上記のお詫びリリースを出してきました。その際、広報担当者からリリース公表前の約10分前に小誌編集部にリリースを発表する旨のメールが送信されてきたのですが、そのメールに添えられたのは〈なお、本件に関しましては、この内容以上の公表の予定はございません〉の一文。

 小誌編集部の取材に対してまともに応じることもなく、"後出し"的にリリースの発表で済ませる姿勢は、膨大な個人情報を扱う企業としてどうなのでしょうか? 果たして、みなさま、Tカード会員の個人情報はきちんと扱われているのか――。大いに疑問の残るところです。

 そこで、本ブログで本日発売の小誌1月号「新クレーマーズレポート」掲載の〈Tポイントカード「退会しても個人情報はダダ洩れ?」にまともに回答できないCCC〉を以下に特別に無料公開します。是非ともご一読の上、今一度、Tカードについてお考え頂きたい次第です。

TPOINT.JPG

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する「Tポイントカード」(Tカード)は会員数6千万人超を誇るポイントサービスだ。CCCのTSUTAYAだけでなく、コンビニエンスストアやドラッグストアの店頭でも、「持ってて当たり前でしょ」といった感じで使用を促される。

 このカードは購入金額100円につき1P(1円)のポイントが付く。たまったポイントは決済時にその場で申し入れるだけで利用でき、「便利でお得」な点ばかりがこれまで強調されてきた。

 しかし実際は、わずか1%程度のポイントの代償として、提携企業に個人情報が共有されているのは周知の通り。氏名、電話番号、住所のほか、提携店舗での購入履歴、TSUTAYAでのレンタル履歴はもちろん、Tカードを導入する図書館の貸出履歴まで......。公開されたくないセンシティブな内容についても、「規約同意」を前提に捕捉、共有されている。

 そればかりでなく、2019年1月には、会員情報が裁判所の令状なしで捜査当局に無断提供されてきたことも発覚、CCC側の対応も含めて広く批判に晒された。

 そもそもTカード加入時に、個人情報の利用について、まともな説明を受けた記憶がない人がほとんどではないだろうか。後から個人情報の共有範囲のあまりの広さを知り、不気味に思って退会しようとしても、その手続きは困難を極める。ヤフーからのネット退会以外は、退会届の郵送や書類のコピーなど、面倒な手続きが要求されることになるからだ。

退会後も情報がダダ洩れ?

〈私はTカードが捜査当局に無断で情報提供しているというニュースを見て、退会手続きを行った一人です。当然ながら、手続き後はTカードとは一切関係がなくなったと思っていました。

 しかし、しばらくしてから〝おかしなこと〟に気づきました。きっかけはヤフーショッピングで買い物をした時、利用可能なTポイントが表示されていることに気づいたのです。アレッと思い、ヤフーの会員情報を見たところ、「Tカード規約同意済み」というグレーの文字が表示されていました。

 そこでTカードに問い合わせてみました。しかし、その時は、私が行った退会手続きで「解除になっている」と説明を受けました。
 それでも納得できず、今度はヤフーに電話。すると、「ヤフーIDに登録されていたTカードの連携は解除されていたが、Tカード規約には同意したままの状況だったので、今もCCCとの連携は行われている」と、Tカードとは違う回答だったのです。

 これに驚いた私は、再度Tカードへ問い合わせました。

 最初に聞いた話とは打って変わり、「退会処理そのものは完了しているが、T会員規約には継続されている状態になっている」と言うではないですか。しかも、退会以降に取得していた情報は、顧客情報ポイントの変動数や残高のみで、顧客情報は見ることは出来なくなっていたとか、ワケが分からない説明に不信感は募るばかり。

 一般の感覚なら、退会手続きをしたと同時に、規約も撤回されていると思うはずですが、退会時に規約撤回の説明自体はありませんでした〉(読者のメールより=赤字部分)

利用者への説明責任は?

 Tカードの退会手続きと、同意の撤回手続きは連動していないのか―。国民的に普及するTカードが、このような杜撰な個人情報管理を行っていたとは驚きだ。

 小誌が早速確認したところ、ヤフー側のサイトにはT会員規約の同意撤回に関する説明があり、手続きを取るためのTカード側へのリンクが貼られていた。しかし、CCCのTカードの公式ページでは、この同意撤回に関する説明を見つけることが出来なかった。

 読者の話の通りなら、Tカード会員が退会手続きを取っても、規約の同意撤回がなされていなければ、規約同意の状態が続き、以降も提携先などに個人情報(匿名化された情報を含む)が流出・蓄積され続けていることになる。あるいは、CCC側が退会者に対し意図的に同意撤回手続きの案内をせず、個人情報を〝搾取〟し続けていた可能性も考えられる。右のような公式ページの仕様からして、これは邪推とは言えないはずだ。

 そこで、小誌はCCCに急遽取材を申し込むことに。対応したのは広報・元永氏である。しかし、ここから事態は混迷を深める。

 詳細は次頁の「新あきれた広報実話」に譲るが、元永氏は当初、サービス運営を行う子会社「Tポイント・ジャパン」に回答させると約束。にもかかわらず、「体調が悪くて休んでいるので」回答期限が守れないと言い出し、その後「必ず私から答えます」と電話をしてきたのだが、〝遅延戦術〟というべき対応が続いたのだ。

 さらに小誌が、規約撤回手続きが告知されているサイトのURLを教えるよう求めても、元永氏が送って来たものには「規約同意の撤回」という言葉はどこにも書かれていなかった。遅延戦術の末の回答がこれでは、CCCは退会者に対し、意図的に同意撤回を行わせないようにしているとしか断じようがない。やはり、何か〝不都合な真実〟があるのだろう。

 Tカード退会者のみなさん、これがCCCの〝回答〟である。

(内容は11月校了分、「ZAITEN」2020年1月号ママ)

なお、CCCは11月26日のリリース発表後、小誌ブログの記述について以下のような指摘を行って来ました。

(1)〈氏名、電話番号、住所のほか、提携店舗での購入履歴、TSUTAYAでのDVDなどのレンタル履歴はもちろん、Tカードを導入する公立図書館の貸出履歴まで......。他人に見られたくないセンシティブな内容についても、「規約同意」を前提に共有されているのです〉

【CCC】ここに書かれている情報は、提携先に共有されておりません。

(2)〈実は、退会届を出して解約した後も、個人情報が共有されている疑惑があるのです――。〉

【CCC】お客様入会中も(1)のデータは提携先に共有されておりませんし、退会後も提携先に個人情報を共有することはございません。誤った認識とご理解のようですので、訂正もしくは取り下げいただきたく存じます。

 CCC側が言うのだから、この点については事実と異なるのでしょうが、本来であれば、小誌編集部の取材に正確に対応していれば、事実誤認はなかったはず。広報対応の拙劣さが招いたものと言えるでしょう。

 今後も小誌はCCCおよびTカードの問題点を取材していく所存です。

 つきましては、みなさまからのTカードに関する情報提供を求めています。何かお気づきの点、あるいは疑問があれば、以下の公式サイトフォームおよびメールアドレスで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼いただければ幸甚です。

【情報提供フォーム】
http://www.zaiten.co.jp/formmail/indict.php
【情報提供アドレス】
indictment@zaiten.co.jp

最新記事

アーカイブ