【緊急・記事無料公開】レオパレス「オーナー」を襲う悪魔のシナリオ

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 2月7日、2020年3月期第3四半期決算で241億円の最終損失を発表したレオパレス21。この日、同社の宮尾文也社長は日本経済新聞のインタビューなどに応じ、村上世彰氏が事実上率いる大株主の投資会社、レノの株主提案などに対し「短期的な色彩が強い」などと、今さらながら、対決の姿勢を鮮明にした。

 しかし、村上ファンドなどの動きは置くとしても、現在の惨状を招いたのはレオパレスの現在を含む経営陣に他らない。今月2月27日に臨時株主総会が開催される運びだが、議決権行使を巡っては今週が山場となる。

 そこで本誌では、現在発売中の「ZAITEN」2020年3月号(2月1日発売)《レオパレス「オーナー」を襲う悪魔のシナリオ》記事を急遽、無料公開したい。なお、本レポートについては、校了期間から2月1日までの発売期間の間に情勢が変化している内容があるが、「本誌ガバナンス問題取材班」の原文を尊重し、そのままで掲載する。その点、予めご了承ください。ちなみに、副題は《前門に村上ファンド、後門には電通出身役員や共同ピーアールの"獅子身中の虫"》というものである。今もなお、彼ら"獅子身中の虫"は現役員としてのさばっている。

 また、本レポートの掲載を受けて、本誌編集部には関係各所からレオパレスの内情についての情報提供ももたらされています。些細な情報とお感じのことでも結構ですので、以下の公式サイト情報提供フォームおよび編集部メールアドレスなどで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼頂ければ幸甚です。

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深山英世前社長(右)と宮尾文也社長(2019年5月、社長交代発表会見にて)

 村上世彰とレオパレス21の対立がついに表面化した。レオパレスは昨年12月、同社株14%を保有する村上率いるレノ等から、取締役全員の解任と村上が推す役員選任を議題とする臨時株主総会の招集請求を受けていた。1月17日、レオパレスは臨総招集が「株主の権利濫用」として反対を表明、昨年4月頃から、村上側から「当社の解体や減資を示唆する発言があった」と明かした。一方、村上側は同日、レノのホームページで、賃貸事業などの主力事業を譲渡するといった独自の再建策を公表し、株主に賛同を求めた。

 レオパレス問題の発端は、2018年5月にテレビ東京『ガイアの夜明け』がアパートオーナーの協力を受け、一部物件に界壁がないことなどを報じたことだ。村上は、レオパレスがさらなる施工不備を公表し、19年3月期の予想を最大400億円の赤字に下方修正した昨年2月頃、暴落後の200円台で株式を買い集めていた。

 レノが明らかにしたレオパレスとの交渉経過によると、村上らは昨年4月から当時社長だった深山英世と面談。深山とはウマが合ったようだが、同年5月に後任社長に就任した宮尾文也とは決裂したようだ。いずれにせよ、レオパレスは今、空前の経営危機にある。

資本市場を騙した過去

 レオパレスの賃貸事業のアパート入居率は昨年10月から3カ月連続で80%を割り込み、賃料収入がオーナーに支払うサブリース料金を下回る状態が続く。レオパレスは改修が必要な物件の入居者を別の管理物件に斡旋しているが、転居がスムーズに進んでいるとは考えられず、この入居率も信頼の置ける数字とは言えないだろう。

 物件の改修も遅々として進んでいない。約3万9千棟ある全棟調査は昨年10月末時点でほぼ終了したが、12月時点で改修が終わったのはわずか924棟。なお、昨年5月末時点の改修物件は826棟だから、進捗はあまりに遅い。

 そして関係者の懸念が集中するのが、資金繰りだ。レオパレスのバランスシートには19年9月末で688億円の現金が計上されている。同年4~9月の営業キャッシュフローは250億円の赤字。10月にはホテルと賃貸物件を合計305億円で売却したが、運転資金はいつまで持つか。

 レオパレスの希望的観測を信じる金融関係者は少ない。

 例えば施工不備問題が報じられた18年5月、同社は1棟当たりの補修費用を60万円と見積もり、19年3月期の利益予想を115億円としていた。しかし18年10月、一転して70億円の赤字に予想を下方修正。そして前述の通り、翌19年2月には赤字幅を拡大した。20年3月期も最終利益を1億円としていたが、昨年11月に273億円の赤字と予想を修正。いかにレオパレス経営陣の見積もりや認識が甘いかが分かる。

 ところで、レオパレスは過去に資本市場を騙した〝前科〟がある。12年12月26日付で、社内部署の家賃改定事務局が「××氏訴訟案件現状及び今後の方向性に関するレポート」と題する文書を作成していた。これは兵庫県の物件オーナー××が、サブリース契約解除の無効を申し立てた訴訟で、界壁の不備を争点化させたことへの対応を報告したものだ。その中で、和解金として「建築修繕費見合い1050万円」を提示することを検討していたのである。

 この時点で、当時社長の深山以下レオパレス経営陣は、自社の物件に施工不備があり、補修費が1棟当たり1千万円するという認識を持っていたことの〝傍証〟と言える。しかし、その件は明らかにされず、13年11月、SMBC日興証券を主幹事とする公募増資で300億円超を調達したのだ。

今も巣食う〝問題人物〟たち

 深山は昨年の社長・取締役退任後も、顧問として事実上の院政を敷いていると見られる。昨年7月に『週刊文春』でパワーハラスメントを告発された広報部長も深山の子飼いだったように、幹部にも深山の息のかかった者が多い。

 そればかりではない。レオパレス役員にも〝問題人物〟が存在する。昨年6月に社外取締役に就任した古賀尚文はその一人だ。現在の肩書は共同ピーアール(PR)会長だが、社団法人共同通信社の営利子会社「株式会社共同通信社」の社長を務めた元新聞記者。社会部長などを歴任し、その経験から共同通信の渉外業務を担って社内外で睨みを利かせたものの、結局は社団のトップになれなかった。

 結果、共同通信時代のコネで求めた再就職先が共同PR(共同通信社とは無関係)だった。そして同社こそ、一連の不祥事発覚時にレオパレスの広報業務を受注していたPR会社で、失策の〝戦犯〟と言えるが、その会長を新たに役員に迎え入れているのである。

 ちなみに、現在は利益相反の問題から、レオパレスは共同PRとの契約を解除したようだが、同じく社外取締役を務める元国税庁次長の村上喜堂(72年旧大蔵省入省)も、古賀の〝引き〟という。

 さらに、本誌19年3月号で報じた電通の営業担当出身の広報担当執行役員、福島範仁も共同通信時代から古賀と昵懇の間柄。「福島兼馬」と改名してもなお同職に居座るところを見ると、レオパレスを〝終の棲家〟にしたようだ。

 村上側の全取締役解任要求も頷けるが、村上こそがレオパレスの救世主となるのか―。話はそう単純ではなさそうだ。村上の基本戦略は自己株式の取得や配当などの株主還元策の要求である。レオパレス経営陣によれば、村上は同社に対し「減資」を示唆したようだが、利益剰余金がマイナスであるから、これを減資して、配当や自社株買いができるようにしようという目論見の可能性が高い。

 村上系が経営権を握ったら真っ先に手を付けると思われるのが、「終了プロジェクト」だろう。レオパレスの賃貸事業は09年頃の不況により、10年および11年3月期が原価割れする逆ザヤ状態に陥ったが、同じ頃、サブリース契約解除をオーナーに談じ込む終了プロジェクトを断行し、12年3月期に再び原価率を黒字化させた。村上としては、収益性の悪い物件は同契約を解除し、良い物件は売却して配当原資を確保する考えと思われる。これで損をするのは、サブリースオーナーである。

 レオパレス問題の深層は、バブル崩壊で経営危機にあった頃、「30年間一括借り上げ」を餌に安い建材の杜撰な物件を地方の土地持ちに買わせたことだ。矛盾はここから始まり、2度目の危機でオーナーを終了プロジェクトで裏切ったことで、屋根裏界壁の不備というパンドラの箱が開いてしまった。ところが、株価の暴落に目を付けた村上に会社は解体され、オーナーも泣く悪魔的シナリオが現実味を帯びてきた。
(敬称略、肩書等は掲載当時のまま)

 誰が「割り」を喰うのか――。オーナーたちは自覚すべきである。

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