【記事無料公開】青木功・日本ゴルフツアー機構で「クーデター」勃発の背後

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昨日、一部夕刊紙が報じた日本ゴルフツアー機構(JGTO)の"内紛問題"。その詳細は「日刊ゲンダイ」(電子版)の記事《男子ゴルフツアーでクーデター 大量41人が青木体制に"NO"》をご覧頂きたいが、JGTOの問題を巡って本誌「ZAITEN」は、その会長に君臨するプロゴルファー、青木功氏の機構トップとしての資質をはじめ、ガバナンス問題を再三にわたって問題視してきた。そして、ここにきて青木JGTOが"破綻"の瀬戸際に立っているのは、本誌の指摘通りの展開と言える。

実際、青木執行部が青木氏の"お友だち内閣"に堕し、理事などの幹部たちがまさに我田引水のような機構運営に終始してきたのは本誌既報の通り。そこで今回、日刊ゲンダイ記事でもコメントを寄せているゴルフ評論家の宮崎紘一氏寄稿の本誌2020年3月号(2月1日発売)記事《JGTOが名門・岐阜関CCにもたらした 「2020ツアー日程」の災厄》を特別に無料公開したい。同記事で報じられる青木体制の姿は、まさにJGTOがゴルフ界の発展はもちろん、選手たちのために資することのない我利我欲の有り様に他ならない。

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「2020年のJGTO(日本ゴルフツアー機構)のスローガンは〝感動〟〝歓喜〟〝感謝〟です」

 昨年1224日、都内ホテルで開かれた今年のツアー日程の発表でJGTOの青木功会長がこう発した。その言葉からは、青木氏自身がトップに立っても一向に低迷脱出の糸口も掴めない現状を何とか打開したいという焦りが伝わってくる。

 だが、発表された20年の日程を見る限り、昨年とほぼ同様。それどころか、その裏には岐阜の名門コースを愚弄する由々しき問題が内包されていた。

 20年の男子ツアー日程は2試合増えて2試合減少(2増2減)で、昨年と同じ25試合が組まれている。

 新設された大会は、7月8日から12日までの「ゴルフパートナー・プロアマトーナメント」(茨城県・取手国際GC=賞金総額5千万円)と、1029日から11月1日までの「THE TOP(ザ・トップ)」(開催コース未定=賞金総額1億円)で、消滅した大会は、昨年米PGAツアーの日本初開催となった「ZOZOチャンピオンシップ」(賞金総額約11億円)と、「HEIWA・PGMチャンピオンシップ」の2試合。

 ただし、2増2減とは言っても、若手登竜門のチャレンジツアーである「AbemaTVツアー」は、昨年の15試合から12試合に減少しているため、全体的には後退しているのが実情だ。

顔に泥を塗られた岐阜の名門コース

 冒頭で指摘した由々しき問題は、新設されたザ・トップの開催を巡ってのことである。

 日程の中で、韓国PGAと共催の「Shinhan Donghae Open」(昨年は韓国で開催)を除いて、国内大会で唯一、開催コースが未定なのはザ・トップだけ。そこにJGTOの重大な〝失策〟が隠されている。

 ザ・トップは、愛知県名古屋市に本社を置くトップホールディングス(小田悟社長)が冠スポンサーとなる大会。同社は通信・OA機器の販売・工事・保守やエコ関連事業、旅行業、リサイクル事業など、6つのグループ会社で構成され、昨年の売上高は233億3千万円、中部・東海地区では知られた企業である。

 実は、同社が男子ツアーに関与したのは今年からではない。

 14年から昨年まで、歴史ある大会で知られる「東海クラシック」に特別協賛会社として名を連ね、その間、大会名も「トップ杯東海クラシック」とされていた。

 だが、同グループの小田社長は、「自分たちの目指していることを実現するには、自らが『主催者』になり、もっと新しいチャレンジをしていかなければならないと考え、このたび、20年での新規男子ゴルフトーナメントの主催大会を目指し、具体的な行動を起こすことにしました」と大会主催の主旨を語り、東海クラシックからの離脱に踏み切ったのだ。

 同大会は発足以来、東海テレビ放送と、東海ラジオ放送が主となって運営してきた。だが、どうせ大金を拠出するなら脇役ではなく、前面に出たい。小田社長がそう考えても不自然ではない。

 ただ、その実現に向けたJGTOとの動きが中部地区で大きな批判に晒されている。

 もともと、小田社長は本社のある中部地区エリアでの大会開催を望んでいた。そこで白羽の矢を立てたのが、岐阜県の名門コース「岐阜関カントリー倶楽部」(岐阜県関市)である。

 同CCは、名匠・上田治設計で1964年に開場、本オープンの66年には高松宮・同妃殿下が参列したという由緒あるコースで、これまで男女のメジャー大会をはじめ、多くのビッグゲームが開催されてきた。73年に開催された日本プロでは現役だった青木会長が見事に優勝を果たしている。

 トップの小田社長が名指しで開催を希望するのも頷ける名門コースであり、小田社長の要請を受けた同CCでは、「中部地区のゴルフの活性化」も考え合わせて、昨年1014日の理事会で検討、開催を承諾した。

 翌日の15日には、トップが小田社長による署名と印鑑捺印した「開催申込書」をJGTOに提出、受理されている。

 この開催申込書受理に至るまでは、トップの依頼を受けた大手広告代理店やJGTO担当者による綿密なミーティングが毎月のように行われ、小田社長との打ち合わせ、岐阜関CCへの数度の訪問も行われてきた。そして開催申込書受理後の1023日には、JGTOと広告代理店担当者と岐阜関CC側とで契約に関する最終確認まで行っている。さらに、1111日、JGTO会議室では、青木会長、上田昌孝専務理事、佐々木孝悦常務理事(事務局長)、村田一治理事、佐藤信人理事らに加え、代理店幹部や担当者が集まり、実施要項、岐阜関CC理事長訪問の調整、同CCとの契約案などについて、綿密なミーティングが行われた。

 およそ半年後の6月開催に向けてすべてが動き出していたのだ。

皇族参加イベントにごり押し依頼

 ところが、事態は一変する。

 1128日、トップから6月から11月への日程変更の通知書(提出済みの申込書の取消書を含む)がJGTOに提出された。

 JGTOはトップの要望に応えて、1週間後の12月6日、開催登録承諾書を返送している。だが、この間、岐阜関CCには何の相談も報告もなされていない。開催コースでありながら完全に蚊帳の外で話が進んでいた。

 本来なら、直ちに開催コースに相談すべき事案だが、青木会長はそんな常識すら持ち合わせていないようだ。開催コースの日程変更など「オレが電話を入れれば簡単にクリアできる」と思っていたに違いない。

 実際、日程変更了承後、青木会長は、岐阜関CCの関谷均常務理事(同コース所属の森口祐子プロの夫)に再三にわたって日程調整(変更の)依頼の連絡を入れている。

 連絡を受けた関谷常務理事はこの勝手な変更に、「6月の開催がすでに主催者(トップ)、JGTO、当該ゴルフ場において了解済み。そもそも、変更予定という期日はすでに別の予定が入っており、当倶楽部としては、ただただ困惑するばかり」とJGTOサイドに伝えた。

 トップが突然、日程変更を言い出したのには理由がある。開催申込ギリギリの11月になって、「HEIWA・PGMチャンピオンシップ」の大会中止の情報が飛び込んできたからだ。

 小田社長は、かねてより秋口開催を望んでおり、この空白になる期間の後釜に飛びついたのだ。

 小田社長にこの情報をもたらしたのは青木シンパの理事の1人。本来なら、主催者と開催コースの間に入って調整をしなければならない立場のJGTOの人間が、主催者の言い分のみを聞き入れ、自ら混乱を招くきっかけをつくったのだ。

 一方、岐阜関CCには、小田社長が望む11月の日程に応じられない重要な予定が入っていた。

 この期間、岐阜県が県を挙げて取り組む「ねんりんピック」(全国健康福祉祭)のイベントが開催されるのだ。

 ねんりんピックとは、高齢者を中心とするスポーツや文化、健康と福祉の総合的な祭典で、厚生省(現・厚生労働省)創立50周年を記念して88年にスタート。開会式には皇族も列席する、いわば「国民的行事」である。毎年各県で持ち回り、高齢者を中心とする国民の健康の保持・増進、社会参加、生きがいの高揚等を図り、ふれあいと活力のある長寿社会の形成に寄与することを目的としている。

 今年は岐阜県の開催で、県知事以下、県総出で準備を進めている。そのイベントの中にはゴルフ大会もあり、岐阜関CCが会場に選出されているのだ。

 皇族も並ぶ催しに、プロゴルフのトーナメントが割り込むことなど到底許されない。

 そこにJGTOが強引に大会を押し込もうとしたわけだ。岐阜関CCが困惑、怒るのも当然である。岐阜県は今年のNHK大河ドラマの舞台でもあり、国家的イベントのねんりんピックと併せ、新設トーナメントの開催で県のPRと振興をしていくと、ゴルフ場ばかりか、県全体が盛り上がっていた。そんな上げ潮ムードをトップとJGTOは無情に踏みにじったことになる。

 おそらく岐阜関CCは、トーナメント開催の要請は二度と受け付けないだろうと関係者は見ている。

日程発表の場で筆者についた大ウソ

 日程発表の会場で、筆者はこの件について質問した。するとJGTOの浦山豊競技運営部部長から驚くべきコメントが発せられた。

「まず断っておきますが、第1回目の開催申込書はあくまで確認書に過ぎず、効力があるわけではありません。また岐阜関CCさんでは、変更期日が『ねんりんピック』と重なっているそうですが、ゴルフ大会が行われるのは11月2日の月曜日であり、日曜日は練習指定日。それを止めればトーナメント(ザ・トップ)を開催するのも可能と思われます」

 つまり、岐阜関CC側が融通を利かせろと言うわけだ。

 だが、開催申込書が確認書に過ぎないというのは明らかなウソである。主催者の正式な署名と印鑑まで押されているものであり、これまでのすべてのトーナメントは開催申込書が受理された時点で開催決定となってきたのだ。

 こんなとぼけた回答をしているにもかかわらず、そばにいる青木会長は一言も発言しなかった。

〝被害者〟は、岐阜関CCだけではない。半年以上もかけて、大会実現に奔走した大手広告代理店も契約を外され、JGTOの大会窓口で動いた担当者の努力も水泡に帰した。

 すべての責任は青木会長とシンパの理事の面々にある。

 この騒動は、中部地区のゴルフ場全体やゴルファーに伝わり、猛反発が起きているという。

 それでも、主催者のトップは、中部地区のゴルフ場での開催を希望している。だが、名門・岐阜関CCに対しての非情な行為があるだけに、新たに開催に手を上げるコースはなかなかないだろうという見方が強い。

 JGTOと青木会長は本当に男子ツアーの復興を考えているのだろうか。

 今年の日程を見ると、昨年、米PGAツアーが日本で初めて開催し大成功を収めた「ZOZOチャンピオンシップ」も日程から外された。そのため、今季の賞金総額は約11億円減となった。ZOZOで獲得した賞金の50%を賞金ランキングに加算するという約束も反故されたことになる。

 石川遼選手会長は、「選手に夢を与える機会をなぜ奪ったのか」と、この時、反論したそうだが、それに対する明確な返答もないという。

 このように、ツアー発展への明確な政策がない青木会長とJGTO執行部に選手の大半が愛想を尽かして、辞任に追い込む機運も充満しているという。

 青木会長が発した言葉は、「感動」を与えるのではなく、自身が男子プロたちから「勘当」されるということなのか。

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