消費者・企業倫理アーカイブ

【記事無料公開】明治「R-1はコロナに効く⁉︎」の悪辣"便乗"営業

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みなさん、緊急事態宣言後は「Stay Home」中でいらっしゃることと思います。でも、それを逆手に取り、高齢者や子どもを狙う悪質な"詐欺商法"が増えているようですので、是非とも気を付けて頂きたいところ。

とはいえ、悪質商法といえば、無名のいかがわしい業者を思い浮かべられることと思われますが、然に非ず。超大手企業も、新型コロナウイルスに便乗した問題商法を行っていたのです。そこで今回は特別に現在発売中の本誌「ZAITEN」6月号(5月1日発売)掲載の《明治 「R-1はコロナに効く⁉︎》の悪辣"便乗"営業》を以下に無料公開いたします。

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 毎年、インフルエンザ流行の時期になるとCMを大量投入する明治「R‐1」ヨーグルトの赤いパッケージを見たことがないという人はあまりいないだろう。

 この商品は通称「R‐1乳酸菌」と呼ばれる明治が選び抜いた乳酸菌を使ったヨーグルトで、EPS(多糖体)という成分を産出するらしい。しかし、商品説明は「たくさんの新しい可能性を秘めている」という漠然とした表現のみにとどまっている。にもかかわらず、巧妙なイメージ戦略や販促活動によって高機能ヨーグルトとしてのイメージを定着させてきた。

 この「R‐1」は、過去にはテレビ番組内で「『R‐1乳酸菌』を摂取すると免疫力が高まり、風邪やインフルエンザを予防する効果がある」と不自然な紹介がなされるなど、〝ステマ疑惑〟が浮上したこともあり、優良誤認を招きやすい曰く付き商品だ。

コロナで子ども・老人狙い

〈新型コロナウイルスで学校が休校になり、平日昼間は子どもたちだけを残し、仕事に出ています。子どもたちは、大人がいない時には、余程のことがなければドアを開けたりはしません。

 しかし先日、何回もインターフォンが鳴らされ、ドアをダンダンダンと叩き続けられたので、中学生の長男がドアを開けました。すると、そこには明治の社員と名乗る男性が立っていて、玄関に入り込み「R‐1」ヨーグルトの営業を始めたのです。

「新型コロナウイルスが今流行っているのは知っていますよね。この『R‐1』は新型コロナウイルスの予防になります」と、その営業マンはチラシを差し出し、子どもたちに見せました。さすがの子どもたちもこれは怪しいと思い、頃合いを見て話を打ち切ろうとしたそうです。

 しかし、担当者は最近掲載されたという明治の新聞広告を出し、「R‐1」の営業を続けました。

「新聞にも書いてありますが、『うがい』『手洗い』『R‐1』は、新型コロナウイルス対策に必要です。ほら、この新聞にも『はじめよう体調管理』って書いてあるでしょ」と語り、大人が誰もいないところで「R‐1」を子どもたちに売り込んでいたのです。

 その状況に困惑した長男が「親に相談してもいいですか?」とスマホを取り出し、チラシの写メを私のところに送ろうとすると、その明治の人は、話を打ち切り逃げて帰ってしまったそうです。

 その様子を外から見ていたお隣の87歳のおばあさんが、「実はお宅に来る前に、ウチにもあの明治の人が来て、なかなか帰ってくれなくて困ったんだよ~」と、後から私に教えてくれました〉(読者のメールより)

 明治の社員が新型コロナウイルスで混乱する一般家庭を回り、親が留守中の子どもや独居老人ばかりを狙い、「コロナに効くヨーグルトです」と営業しているのだ。

 記者がツイッターを検索したところ、〈明治の人が来て、『コロナが流行っているから免疫が高まるR‐1を配ってます』って〉(3月7日)、〈保育園で明治からコロナ感染拡大防止のためにR‐1が1本ずつ配られたのだけど〉(3月17日)などの書き込みを見つけることができた。

 そればかりではない。連日コロナ関連のニュースが増加する中で、頻繁に使われている「うがい」や「手洗い」というキーワードと絡めた新聞広告を、この時期に敢えて積極的に展開しているようにも見える。現に、読者の家に来た営業マンも新聞広告を見せながらあたかも「うがい」「手洗い」と「R‐1」が同等の〝コロナ予防〟にもなる体調管理対策だと子どもたちに語っていたではないか。

 営業マンの対応に苦慮した中学生の長男が読者に送ろうとしたチラシの撮影日は3月18日であったが、編集部の調べによると、その前日の17日の日経新聞や朝日新聞に営業マンが見せた「R‐1」の広告が掲載されていた。

 広告掲載のタイミングを狙い、営業活動を重点的に行っていたと思われる。

 この件について明治広報に取材を申し込んだ。ところが、明治広報は「弊社社員が一般消費者宅に個別に訪問して販売契約を行うことはありません」と言うばかり。また、新聞広告の表現についても「使用している広告の表現につきましては、問題ある表現とは認識しておりません」と回答。

「この広告表現は従来から使用しており、日常の体調管理の一助として、ヨーグルトの喫食による健康的な生活をイメージした表現です」と宣うのだ。

「明治の宅配」の営業マン

 確かに従前から使用している広告表現だろうが、新型コロナウイルスで不安が高まっているこの非常時に「うがい」「手洗い」という言葉が並べば、消費者には〝日常〟とは違ったイメージを植え付けることになるだろう。

 明治広報の通り一遍の回答に納得できなかった記者はさらに、「読者宅を訪れたのは子会社や代理店の社員ではないのか」「明治の社員を名乗るそれらの社員と明治は一切関係ないと言い切れるのか」「無関係の人間がなぜ一般家庭で販売活動を行っているのか」「新型コロナに効くヨーグルトと優良誤認する危険性についても議論がなされたか」など数々の質問を計4回にわたり投げかけたが、明治広報は定型文のような回答をFAXで送り付けてくるばかりであった

 しかし再度チラシの写真を確認したところ、裏面が透けて見え、「明治の宅配」という文字を読み取ることができた。

「明治の宅配」は明治の公式サイトでもしっかり紹介されている正規の明治の事業である。営業担当は明治の特約店(各地域の牛乳販売店)であり、明治と連なる「明治の営業マン」である。それを「弊社とは関係ない」と言い切ってしまっていいのか。

 結局、広報が自分たちに都合のいいように言辞を弄して取材を撹乱させようとしたに過ぎない。この会社は取材や消費者を巧妙に欺くことしか考えていないようだ。

 やはり〝ステマ疑惑〟をやらかした企業だけある。

ちなみに、5月1日発売の6月号の「新あきれた広報実話」では、同問題を巡る明治の"ありえない取材対応"をレポートしておりますので、そちらも是非ともご購入の上、ご覧ください!

なお、本誌では明治をはじめとする、コロナ禍便乗商法に関する情報提供を以下の公式サイトフォームおよびメールアドレス他で募集しております。なお、情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼ください。

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【記事無料公開】小池百合子も知らないテキトーな「都営地下鉄」の実態

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新型コロナショックで開催延期が決定した東京オリンピック。

小池百合子東京都知事は当初、「花見の自粛」要請などと悠長に構えていたのに、五輪延期が決まった途端、「首都封鎖」も検討と、突如、"非常事態"モードに豹変しました。人口比から見て東京の感染者が異様に少ないとの指摘もありますが、自身の都知事選を睨んでのパフォーマンスに見えるのは穿ち過ぎでしょうか。

しかし、そんな都知事の下、都職員も弛緩しているようで......。今回は、そんなことを物語る、2020年4月号(3月1日発売)掲載の記事《都営地下鉄 英語アナウンスで「注意喚起」を省略》を無料公開します。

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〈私は10年近く日本在住しているアメリカ人で、都営地下鉄新宿線に毎日乗っています。

 最近は、オリンピックも近くなり、たくさんの外国人が都営地下鉄を利用するようになっています。そんな中、車内で流れる英語のアナウンスで、腹を立てていることがあります。

 通常の日本語のアナウンスでは駅の乗り換え情報の他にも「一部電車とホームとの間が空いておりますのでご注意ください」などとアナウンスが流れます。

 しかし、その後に流れる英語のアナウンスは乗り換え情報のみで、注意に関するアナウンスは一切流れないのです。注意する必要があるのは外国人も同じじゃないですか。これは外国人差別だと思います。ヒドイですよ!〉(読者のメールより)

 普段からなんとなく聞き流している地下鉄の車内アナウンス。まして、英語のアナウンスで何を話しているかなど、これまで気にしたことがあっただろうか。

 しかし、ここ数年、明らかに日本国内には外国人労働者や外国人旅行客が増加している。

 実際に都営地下鉄に乗り込み、車内アナウンスを調査したところ、いくつかの駅の到着前に流れるアナウンスでは、日本語と英語で内容が異なっており、もっとも重要な注意喚起のアナウンスが省かれていたのである。

 この件につき早速、東京都交通局総務部広報担当の永井氏に取材を申し込んだ。すると、注意喚起情報を端折っているのは「事実」と認めた。

「英語のアナウンスの文面はまず当局の職員が日本語で考え、その後、委託業者に翻訳を依頼しています」

 この英語放送は1991年に都営地下鉄大江戸線開通時から始まっている。最近では2018年と19年に緊急時(地震発生時)のアナウンスが日英中韓の4カ国語で追加されているらしい。

 しかし、なぜ、日本語と英語のアナウンス内容を変えているのだろうか。むしろ不慣れな外国人にこそ危険個所を教えるべきではないのか。

「次の駅名や乗り換え案内などの基本情報は必ず英語でアナウンスするよう、優先順位をつけて多言語対応しているのが現状です」と永井氏。注意喚起情報は基本情報ではないのか。

「今までこのような意見をいただいたことがなかったのですが、この取材を通して認識させていただきました。無下にしているとか、差別しているとかそういうことではないので......」

 このような言い訳をしているヒマがあったら、早く改定するべきである。しかし、都営地下鉄では英語アナウンスの改定予定は「今のところない」という。

 オリンピックの主催者である東京都の公共交通で、このような危険な状態を放置するなどもってのほか。今以上に外国人客が増える中、事故が起きたらどうするのか。

 アナウンスを改定しないのなら、車掌が「アテンションプリーズ!」ぐらい言えるよう英語のアナウンスの練習をし、明日から即刻、取り組むべきだろう。

なお、この記事で報じた後も都営地下鉄は、外国人向けの英語アナウンスの改善について何も取り組んでおらず、危険な状態のままの放置しているのです。外国人旅行客が少ない今だからこそ、東京都は外国語アナウンスの改善に取り組むべき時。それとも、外国人旅行客が来なくなったから、この問題は先送りにしてもいいとでも判断したのでしょうか。

危ないのは外国人も同じです。本誌編集部は一刻も早く都営地下鉄の英語アナウンスの改善を求めます。

さらにこの記事が掲載された本誌4月号が発売された3月1日以降も、編集部には都営地下鉄の対応を問題視する声が寄せられています。その中で、都営地下鉄の新型コロナウイルス対策絡みの読者からのメールをご紹介します。

〈私は都営地下鉄三田線で毎日通勤しているものですが、通勤中にかなりストレスを感じていることがあります。
 というのは、巷ではこれだけ新型コロナウィルスが問題視されているのに、車内換気がぜんぜん徹底されていないのです。混みあっている電車の中で換気は必須だと思っています。
 私は問題だと思ったので、その都度駅員にクレームを言ったり、東京都の相談窓口に電話を入れたりしたのですが、3月5日にも窓は閉められたままで、一向に改善されることがありませんでした。
 その一方で都営大江戸線ではきちんと換気がなされていました。この違いは一体何なのでしょうか〉

果たして、都営地下鉄はどう答えるのか――。回答したのは、東京都交通局の広報担当。

編集部 都営三田線では新型コロナウイルス対策でいつから地下鉄電車内の換気をはじめたのでしょうか。

東京都交通局 3月5日から換気の対応を行っています。車内の窓開けについては、三田線とか大江戸線とか関係なく、各車両2カ所をごとに窓を開けて対応しています。

編集部 しかし、読者の話によると3月5日の三田線では換気の対応はなされていなかったとのことですが。

東京都交通局 私どもはコロナウイルス感染防止を図るために窓開けに取り組んでいますが、地下鉄を利用されているお客様方の判断で窓を閉じることもできるのです。なので、必ずしも乗った時に開いているかというと、そういうわけではないところもありますので、ご注意いただきたいというところです。

一方、こんな声も編集部に寄せられている。

〈新型コロナウイルスが初声死してイベントなどを控えなくてはいけないのに、都営地下鉄はまだ地下鉄のイベントをやめていない〉(読者のメールより)

事実、以下のようなイベントが告知されていた。

https://blacklabel.takarush.jp/promo/tetsutan6/

では、これに対しどう答えるのか。

東京都交通局 そうですね、現状、行っている状態ですね。

......と、新型コロナウイルスで混乱している状態で、都営地下鉄内でのイベント開催について、東京都交通局は何も疑問に思っていない様子でしたが、イベント期間は3月22日までであったので、何もやらずに放置後"自然終了"といった状態だったのです。

しかも、これだけではありません。

〈テレビなどで小池百合子さんが、新型コロナ対策として花見の自粛の声明を出しているのに、都営地下鉄の駅に花見のポスターが貼っているのはなぜ?〉(読者のメールより)

東京都交通局 場所やポスターの場所が分からないので......。場所さえわかれば......。

......というので、この件についても編集部では調査を敢行しました。すると、瞬間的に都営大江戸線の飯田橋駅で花見のポスターを何種類も発見。そのポスターには貼り出し期間が3月31日とのこと。以下が証拠写真です。

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(いずれも3月13日、都営地下鉄大江戸線・飯田橋駅通路で撮影)

連日連夜、小池知事が新型コロナ関連の声明を発表している中で、この有り様はいかがなものでしょうか。このポスター群も、都営地下鉄職員が誰も気づかないまま、期限の3月31日まで貼り続けられるのでしょう。それもこれもすべて、東京都庁の「お役所仕事」の一端と言えそうです。

ちなみに、4月1日発売の5月号の「新あきれた広報実話」では、この間の東京都交通局のいい加減な取材対応をレポートしておりますので、そちらもぜひご覧ください!

なお、本誌では東京都営地下鉄をはじめ、公共サービスに関する情報提供を以下の公式サイトフォームおよびメールアドレスで募集しております。なお、情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼ください。

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【記事無料公開】ワタミ渡辺美樹「会長復帰」に異議あり

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かつて「ブラック経営者」の称号を欲しいままにしたワタミ創業者の渡辺美樹氏。2019年10月7日に会見を開き、再びワタミ会長に復帰した。しかし、参議院議員生活6年間で歳費を貪り食った無責任男の現場復帰は会社経営に暗い影を落とす――。2020年3月号で掲載した《ワタミ渡辺美樹「会長復帰」に異議あり》を無料公開します。

なお、本誌編集部ではワタミに関する情報を広く募集しております。些細な情報とお感じのことでも結構ですので、以下の公式サイト情報提供フォームおよび編集部メールアドレスなどで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼頂ければ幸甚です。

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 居酒屋チェーン「ワタミ」創業者の渡辺美樹が参議院議員選挙に出馬し、自民党議員となったのは2013年7月。その後、『週刊東洋経済』(2015年11月28日号)インタビューでは「ワタミに戻ることは1000%ない」と公言していたはずだが、人の言葉とはかくも軽いものか。

 昨年、渡辺は「残念ながらこの6年間、公約した財政再建や原発ゼロについて何一つ力を発揮することができなかった」「政治家としての自分への評価は0点」などと総括して政界を引退し、同10月1日にはワタミの代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)に就任、経営トップの座に舞い戻った。

 かつて「ブラック企業」との批判を浴びて主力である外食部門の売上が不振に陥ったワタミは、14年3月期の決算で上場以来初となる49億円の赤字を計上。翌15年3月期も128億円の赤字で債務超過寸前となり、当時グループの稼ぎ頭だった介護部門売却を強いられる創業以来最大の経営危機に直面した。

 その後、16年頃から、「和民」や「わたみん家」といった既存店舗を「ミライザカ」「三代目鳥メロ」など別ブランドに衣替えする〝ワタミ隠し〟を徹底。さらにかつては一貫して存在価値を否定してきた労働組合が社内に発足するなど、体質是正のための一定の取り組みを行ったことで、19年3月期の決算では営業利益が前年同期比6割増の10億円となるなど、ようやく回復基調に乗り始めていた。

 そうした努力により払拭されつつあった負のイメージが「再燃するのでは」との懸念が渡辺の会長復帰発表以来、SNSなどで渦巻いている。昨年10月7日に東京都内で開かれた復帰会見でも、案の定記者からそうした質問が上がったが、これに渡辺は「反省すべきところは反省する。これからのことを見て欲しい。今までのことは一切振り返らない」と断言した。

ブラック批判は過労自殺から

 広辞苑で「反省」は、〈自分の行いをかえりみること。自分の過去の行為について考察し、批判的な評価を加えること〉とある。「今までのことは一切振り返らない」と言い切る人間が何をどう反省するのか甚だ疑問だが、渡辺がこの復帰会見とほぼ同時に刊行した『警鐘』なる著書を読むと、その疑念はますます強まる。

「国会議員としての卒論」と称し、政府の財政危機を憂いてみせる同書の第3章で、渡辺はワタミの経営危機を次のように語っている。

〈こうした危機はわたしが議員になったあとに起こりました。会長の職を辞して経営から退いたのはワタミがすでに確かな成長路線に乗っていたからです。実際にわたしが参議院議員になった2013年は過去最高益を記録したほど業績が好調でした。ところが、当選と時を同じくして、ワタミに対する「ブラック企業」批判が巻き起こったのです〉

 まるで自分が会長にいる間は何も問題はなく、退任後にあらゆる問題が噴出したかのような筆致だが、事実は全く異なる。そもそもワタミに対する「ブラック企業」批判は、同社の女子社員が過労自殺した08年の事件に関して、神奈川労働者災害補償保険審査官が労災適用を決定し、これに渡辺がツイッターで反論して炎上した12年2月に始まった。この時、渡辺は当然まだワタミ会長だった。

 これを口火に、「たとえ無理なことだろうと、鼻血を出そうがブッ倒れようが、無理矢理にでも一週間やらせれば、それは無理じゃなくなる」「(部下を叱る際には)ビルの8階とか9階とかで会議をしている時、『いますぐ、ここから飛び降りろ!』と平気で言います」といった過去の発言が判明。

 さらに渡辺が参院選出馬を表明して以降、『週刊文春』が〈自民党参院候補 ワタミ渡辺美樹会長は〝Mr.ブラック企業〟これだけの根拠〉と題する記事を皮切りにワタミ糾弾キャンペーンを6週連続で展開するに至ったのである。

 渡辺は自分が会長だった13年3月期の決算を根拠に、経営危機は自分が議員になった後に起きたとしらばっくれるが、「ワタミ批判」とは、即ち渡辺個人への批判とほぼ同義であり、14年3月期決算での赤字転落も、世間が渡辺個人に浴びせた鉄槌に他ならない。渡辺が会長を辞任した13年6月末時点のワタミは、〈確かな成長路線に乗っていた〉どころか、トップ自身の手で破滅させられかけていたのだ。

いまだ過労死への謝罪なし

 第三者から見れば明白な経緯がありながら、渡辺はあくまで元部下への責任転嫁に余念がない。

〈2014年に業績が悪化したとき、自分が選んで任せた桑原豊社長を代えるかどうか悩みに悩みました。なんとか事業承継を成功させようと思い、必死になって桑原社長を支えてきたからです。しかし、事業承継なんて考えていたら、会社がつぶれてしまいかねませんでした〉(前出『警鐘』)

 このグロテスクな言い草には既視感がある。渡辺は参院選出馬表明後の13年8月2日の朝日新聞のインタビューで過労死について問われ、〈なぜ(自殺した社員を)採用したのか。なぜ入社1カ月の研修中に適性、不適性を見極められなかったのか。なぜ寄り添えなかったのか。本当に命がけの反省をしている〉と、一見反省するかのような態度を示しつつ、被害者を侮辱したのだ。そもそも渡辺は「批判を浴びたこと」への反省はたびたび述べる一方、過労死させた従業員やその遺族への謝罪の言葉は著書には一言もない。要するにこの男は、自分が悪かったとは思っていないし、自らの傲慢さがワタミを潰しかけたという事実をいまだに認められずにいるのだ。

 渡辺はかつて、自らが理事長を務める郁文館夢学園において教員への成果報酬を導入し、「いじめが起きたクラスの担任教師は給与を下げる」(『SAPIO』12年8月22・29日合併号)などと述べ、実際に生徒からの評価の低い教員の給与を下げている。この成果主義原則に従うなら、参院議員としての任期で「政治家として0点」を自認する渡辺は、6年間で受け取った議員歳費を返納すべきだ。

 また、自らの言葉に責任を持つ気が少しでもあるのなら、今からでも会長兼CEOを退くのが最低限の良心であろう。また、ワタミに対し、いくつかの質問を送ったが、同社広報は「取材はお受けしません」と回答した。(敬称略、肩書等は掲載当時のまま)

【記事無料公開】大幸薬品「クレベリン」 の新型コロナウイルス"便乗商法"

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連日連夜、ネットやテレビで流される新型コロナウイルス関連ニュース。ドラッグストアに行ってもマスクが1枚も買えない状態が今もなお続いています。安倍政権の唐突なコロナ対応についても一言いいたいところですが、それよりもマスクが必要な状況下で空っぽのマスク売り場を見て、不安が急に募った人も多いのではないでしょうか。

ネット上には新型コロナウイルス対策グッズを紹介するページも乱立しており、中には"便乗商法"としか思えない内容のものもあり、商品特性をよく理解せず焦って購入してしまったという話もよく耳にするようになっていますので、みなさん注意しましょう。

そんな中、新型コロナウイルス関連商品の中で、かなりの頻度で紹介されている「クレベリン」という商品があるのですが、みなさんご存知ですか? あの「正露丸」で有名な大幸薬品の商品ですが、マスク売り場の空きスペースに陳列されているようです。しかし、「クレベリン」は医薬品ではなく、あくまでも「雑品」なのです。

ここでは、現在発売中の20204月号(32日発売)で掲載している記事《大幸薬品「クレベリン」新型コロナウイルスに便乗の"沈黙商法"》を特別に無料公開いたしますので読んでください!

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〈私は日頃から業務上、マスクは原則NGになっている接客業の職場で働いている者です。新型コロナウイルスが取り沙汰された当初、上司から予防したい人は、マスクの代わりに「クレベリン」スティックなどの除菌剤を各自で買いなさいと指導を受けたので、購入しました。ちなみに、現在はマスク着用が許されるようになりましたが......。

 私が買ったのは、ペンのような容器に入っており、首から下げる専用ケースがついているもので、1箱1000円以上しました。

 すでに数日間使用しましたが、コロナウイルス対策として効果があるのか疑問です。どのウイルスや菌を除去できるのかも、分からないし、何のために首から下げているのか、と首を傾げる日々でした〉(読者のメールより)

クレベリンは薬ではない!

 新型コロナウイルスが上陸した後、瞬く間にドラッグストアからマスクが消えた。連日連夜テレビで流されるダイヤモンド・プリンセス号での集団感染報道に煽られる中、街中では人々がマスクを手に入れることができない状態に陥っていた。

 多くのドラッグストアでは売り場に〈本日マスク入荷なし〉という内容の貼り紙がされ、マスク売り場の棚はどこも空っぽ状態。

 しかし、その空の棚に「クレベリン」を陳列している店があった。この売り場ではマスク目当てに来店した多くの消費者が「マスクの代わりになれば」とクレベリンを購入していた。

 クレベリンは、正露丸で有名な大幸薬品が出している商品だ。そのパッケージには「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」とある。スティック状のもののほか、スプレーや置き型の製品がある。

 ネット上には新型コロナウイルス対策グッズを紹介するページも乱立しているが、クレベリンはかなりの頻度で紹介され、注目度も高い。その一方で対策グッズの商品特性をよく理解せず購入するケースも増えているようだ。

 早速、編集部では大幸薬品広報部の高梨氏に取材を申し込んだ。 

 大幸薬品では2005年から業務用クレベリンを販売、今では連結売上高の6割をクレベリン関係が占め、正露丸をも上回る。

「クレベリンは二酸化塩素の作用に着目したウイルス除去・除菌・消臭のための雑品のブランドです。主成分である二酸化塩素ガスの酸化作用により、空間に浮遊したり壁面などに付着するウイルス・細菌・カビのたんぱく質や悪臭物質を働かせなくさせます」(高梨氏)

 とはいえ、ナントこの商品は〝薬品〟ではなく〝雑品〟なのであるでは、どのようなウイルスや菌を除去するのか。

 高梨氏は「クレベリンは雑品のため、特定のウイルス・菌に対する効能・効果を謳うことは薬機法に抵触するため、一般の方々に当該情報のご提供はできません」と回答。

 つまり、消費者に何を除菌、除去しているのかも明示できないような非常に曖昧な商品なのだ。

 しかも驚くことに、これらのクレベリン製品は14年3月、消費者庁より、製品紹介ページや新聞広告の表現について、景品表示法の優良誤認に該当すると措置命令を受けた過去があるのだ。パッケージの後ろに小さく記載されている「ご利用環境により、成分の広がりは異なります」という文言は消費者庁の指導で追加されたという。

 クレベリンにエビデンスはあるのだろうか。高梨氏に確認したところ、除菌の根拠としての二酸化塩素に関する実験データや成果があるとしたが、閉鎖空間での試験結果で、もちろん新型コロナウイルスに対する二酸化塩素の試験データはない。

 ネットには〝お守り代わり〟に下げるものだと書き込まれていたが、言い得て妙である。

新型コロナウイルスに便乗?

 ネットなどではクレベリンがあたかも新型コロナウイルス対策として使えるように書かれているし、店ではマスクの代用品のように陳列されているケースは今後も増えてくるだろう。

 そして、読者のように会社でコロナウイルス対策にクレベリンを使えと間違った指示を受けるケースも出始めている。

 大幸薬品はこうした状況を把握し、いち早く消費者に向け分かりやすい商品情報を発信するべきではないか。それとも〝コロナウイルス特需〟だとでも思っているのだろうか。現に、クレベリンの売り上げは大幅に増え、2月12日には株価がストップ高に。20年3月期連結純利益予想も30・3%上方修正し、過去最高を狙う。

 高梨氏は「新型コロナウイルスに関するネットを含めたメディアでの一般的な報道や政府発表の情報は適時収集し、販売従事者を対象に適時、製品に関する説明会や情報提供等を行っています」と言うが、大幸薬品の公式ホームページなどを見る限りでは、一般消費者の誤認を防ぐような努力は特に行っていない様子。

 こうした状態を放置するのは便乗商法ではないか。そうではないと言うのなら、今すぐ「クレベリンの新型コロナウイルスに対する効果は確認されていません」と広報すべきだ。

なお、本誌編集部では読者のみなさんの「これはちょっとおかしいのではないか?」「企業倫理はどうなっているの?」という素朴な声を企業へダイレクトに問いかけ、日々取材を行っています。些細な情報とお感じのことでも結構ですので、以下の公式サイト情報提供フォームおよび編集部メールアドレスなどで情報をお寄せください。情報源の秘匿については絶対ですので、その点についてはご信頼頂ければ幸いです。

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