ZAITEN2025年08月号

月刊ゴルフ場批評94

「藤ヶ谷カントリークラブ」批評

カテゴリ:月刊ゴルフ場批評

藤ヶ谷CCクラブハウス.jpg 今回は千葉県柏市の「藤ヶ谷カントリークラブ」だ。  この辺のコースはアクセスが気になる。都内からは50㌔あまりで、成田や外房エリアよりは格段に近いが、慢性的に渋滞する国道16号を避けては通れないから、なかなか足が向きにくい。

 特に、藤ヶ谷CCは裏道がわかりづらく、京葉道路原木インターからの一般道ルートもあるが、下道を20㌔近く走らないといけないからなかなかしんどい。対策はただ一つだけ、朝7時前にコースに到着してしまうことだ。

 クラブハウスは、本人こそ手掛けていないものの、かのアントニン・レーモンドの設計事務所によるもの(2005年)。外光を巧みに採り入れ、透明感が際立つ玄関周り、高さのある天井に、こだわり抜いた照明。さらには調度品などが目を引くレストランなど、数々の名建築を産んできた世界観を堪能できるから、早く到着しても退屈しないぞ。

 経営母体は京成電鉄グループだが、ルーツは戦前に存在した「武蔵野カンツリー倶楽部・藤ヶ谷コース」にある。戦争の影響で消滅し、戦後、紆余曲折を経て「京成藤ヶ谷パブリックゴルフ場」としてスタート。後にメンバーシップに移行し、現在に至る。

 そんなバッグボーンを持つせいか、フロントやマスター室のスタッフもソツがないというか、テキパキ動いてくれてなんともストレスフリー。教育が行き届いていて、いつも感心させられる。  コースはなだらかな丘陵地に広がる林間タイプで、敷地も広大だ。開場60年を迎え、鬱蒼とした樹木が左右から迫る様は、落ち着いた品格を与えている。そのぶん、曲げるとやっかいだがな。

 数多くの名コースを手掛けた富澤誠造氏によるレイアウトは至ってオーソドックス。フェアウエー幅は広いうえ、激しい谷越えなどの苛烈なホールもなく、「お散歩コース」のように感じられるが、プレーしてみると手ごわい。

 ドッグレッグのホールが少なく、フェアウエーのランディングエリアに受けているホールが多い。ランが出にくいこともあって、実際のヤーデージより長く感じてしまう。  ホール建ても面倒だ。アウト、インとも前半3ホールまでにパー5が2つとも終わり、後半に距離のあるパー4が続く。これがジワリとプレッシャーになるのだ。

つまり、「ロングで取り返そう!」なんてことが不可能というわけ。1日がかりのゴルフ、前半で期待感が失われるのは、結構メンタルにくる。  コンパクトなグリーンも悩ましい。強い傾斜はないが、それがかえってラインを読みづらくしている。特に、コーライは同一ライン上に順目と逆目が混在していたりするから、なかなかタッチを合わせにくい。

 パッと見は与しやすそうなのに、毎回スコアが悪い。そんなにひどいプレーをした覚えはないのに、上がってみると叩いている。負け惜しみだが、コースの術中にはまっているのだろうな。悶々とした感覚を味わいたいMっ気のある人向きのコースだといえよう。

●所在地 千葉県柏市泉2348 ●TEL. 04-7191-4161 ●開場 1965(昭和40)年2月 ●設計者 富澤誠造 ●ヤーデージ 18ホール、6884ヤード、パー72

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