ZAITEN2025年07月号
月刊ゴルフ場批評93
「グレンオークスカントリークラブ」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
千葉県成田エリアの「グレンオークスカントリークラブ」。元の経営母体は建設系企業の東和ランドで、系列に同県のオーク・ヒルズCCと栃木県の皆川城CCの2コースがあった。
グレンオークスCCやオーク・ヒルズCCはメンバーの組織がしっかりしていたうえ、プロや研修生の育成にも注力。丸山大輔プロや飯島宏明プロなどを輩出し、アスリートの集まるコースとして一目置かれていた。
しかし、2004年にゴールドマンサックスの支援を受けたことで日東興業傘下となり、14年からはアコーディアグループへと編入。当初、この3コースは同グループでもハイグレードコースとして扱われ、コース看板もアコーディアカラーのグリーンには切り替わらなかったが、さて今は?
10年ぶりの再訪といってみるか。 あ~、コース入り口の看板はまごうことなきアコーディアのコーポレートカラー。グレンもグリーン看板になってしまったかぁ。
予想通り、玄関のポーターは不在、カートへの積み込みはスタッフがやってくれるものの、ほとんどがセルフ化された〝アコーディア・スタイル〟に変わっていた。これも時代の流れか。
練習施設は......。広々としたドライビングレンジに、コースと同じクオリティのグリーンに向かって打てる実戦的なアプローチエリア、バンカーも練習し放題。抜群の環境は健在でよかった。当時、練習場では必ずプロや研修生が熱心に練習に励んでいて、熱気に溢れていた思い出が蘇る。
コースはややこしい。ロバート・トレント・ジョーンズJr.の弟子筋にあたるJ・マイケル・ポーレット設計とあって、大きくうねったグリーンや、池やバンカーを効果的に配置したレイアウト。きっちりポイントに打っていかないとスコアにならない。
残念なのはスタートの1番ホールだ。320㍎と短く、直角に近い左ドッグレッグだから、いきなりショートカットでワンオンチャレンジするか、180㍎に抑えてフェアウエーに置いていくかを迫られる。スタートホールくらい素直に造ってもよかったんじゃないか? ワンオン狙いをされると、グリーンが空くまで打てないし。
その後はスリリングというか、距離があって左右もシビアという難ホールが続く。 クライマックスはアウト、インとも最終ホール。9番はティショットを下の段まで飛ばせば2オンを狙えるが、グリーン右には大きく池が広がるパー5。18番はセカンド地点で左手前と右奥という、距離の違う2つの池の配置がゴルファーを悩ませるパー5。どちらも最後まで気が抜けない。
コースコンディションは......。フェアウエーはディボットが目立つし、バンカーも均してないところが多かったのは否めない。グリーンも傾斜がきついからあまり速くできないのだろうが、荒れているのが目立ったぞ。
かつてアスリートを育てた難コースの成れの果て。帰路で再びグリーンの看板を見て目頭が熱くなった。これ以上クオリティを落とさないでほしいと切に願う。
●所在地 千葉県香取市沢442 ●TEL. 0478-75-3737 ●開場 1989(平成元)年5月27日 ●設計者 J・マイケル・ポーレット ●ヤーデージ 18ホール、6972ヤード、パー72