ZAITEN2025年12月号
月刊ゴルフ場批評98
野田市パブリックゴルフ場ひばりコース」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
茨城県と埼玉県に挟まれた千葉県北東部に位置する野田市。ほとんど起伏のない土地を活かし、千葉CCや紫CCなど名門が多いエリアとして知られる。
その野田市の利根川河川敷に、千葉県初の市営ゴルフ場として1977年にオープンしたのが、「野田市パブリックゴルフ場ひばりコース」だ。2013年に債務超過の危機に瀕し、自治体による「経営健全化計画」が策定され、コストカットや料金体系の見直し等を進めた結果、何とか存続できてきたという経緯がある。
都内から1時間以内の好立地ながら経営難......。同コースの22年度の事業報告書によれば、年間入場者は6万2000人。18ホールのコースとしては高水準で人気コースといえるレベルだろう。
通称〝野田パブ〟は、ひばりコースのほかに「けやきコース」(18ホール)を擁する。けやきコースは5㌔と離れていないが、その名の通りの林間コース。距離は短いが、趣のある上質なパブリックといったイメージだ。けやきコースでは何度かラウンドしたが、ひばりコースは初めて。人気コースのお手並み拝見といくか。
常磐自動車道の柏インターを下り、渋滞する国道16号を抜けて茨城県境方面へ。何だか埃っぽい道でダンプやトラックも多く、ボヤッと運転していたら煽られそう。 やっとゴルフ場らしき場所が見えてきた。良く言えば、荒涼としたリンクス風だが、悪く言えば、原っぱにティとグリーンがあり、かろうじて灌木で各ホールがセパレートされているだけ。
おまけに、コース案内には、〈ブラインドやドッグレッグのホールがない河川敷コース〉と書かれている。単調なコースと宣言しているようなものだが、殺伐とした道中だっただけに、目の前に広がるゴルフ場の風景で少し気分が晴れたのが救いだ。
味もそっけもないのはクラブハウスなどの施設も同じ。スループレー専用だからレストランはなく、フロントに申し訳程度にパンなどの軽食が置いてあるだけ。
それでも確かに賑わっている。フェアウエーは広く、ストレートなホールばかりでドライバーショットはノーストレス。フェアウエーのコンディションもまずまずで、コーライグリーンもスピードは速いから転がりもスムーズで、文句なしのクオリティだ。〝原っぱ〟なんて言って申し訳ない。空が大きく広がり、ひばりが飛ぶ青空を連想させる。それをコース名に据えたセンスも最高だ。
これで平日4600円、土日祝日8800円。けやきコースの平日1万600円、土日祝日1万6400円という強気な料金設定からすると、かなりのお得感がある。 事業報告書でも売上高は、来場者が1万人以上も少ないけやきコースのほうが1億3000万円ほど多い。カジュアルな河川敷コースを前面に出して、けやきコースとのメリハリをつけたことが、経営難脱出のカギだったのかも。
リーズナブルにサクサク周りたいなら「ひばり」、ゆったりプレーを楽しみたいなら「けやき」。似て非なる2コースだから、予約の際は間違えるなよ。
●所在地 千葉県野田市瀬戸1111 ●TEL. 04-7138-1112 ●開場 1977(昭和52)年10月4日 ●設計者 株式会社オオバ ●ヤーデージ 18ホール、 6149ヤード、パー72







