ZAITEN2025年11月号
月刊ゴルフ場批評97
「オーク・ヒルズカントリークラブ」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
ゴルフに夢中だった若かりし頃のお気に入りコース、「オーク・ヒルズカントリークラブ」。アスリート志向のメンバーが多く、スタート前はもちろん、プレー後の練習場やグリーンは熱心なゴルファーで賑わっていた。
しかし、経営会社の資金繰りから、現アコーディア・ゴルフの下で再建されることになったのが2004年。一つの時代が終わったようで、当時はショックだった。それでもアコーディアのシンボルカラーの緑色の看板をつけず、ハイグレードさをキープしていたが、数年前から普通のアコーディアコースに替わってしまった。嗚呼、我が青春よ......。
今は年に一度訪れる程度になってしまったが、それでもすべてのホールを思い浮かべることができるほど、メモラビリティがとても強い。今年も行ってみるか−。
ロケーションは千葉県の東関道エリア。ほぼ渋滞はなく、高速を降りてからの道も走りやすい。
開場40年を越えて、クラブハウスはだいぶくたびれた感じだ。トーナメントを開催していた80年代の写真も、かなり古ぼけてきて物悲しい。平日は玄関でのバッグの積み下ろしや、プレー後のクラブ掃除もセルフ......。ただ、土日はフルサービスだそうで、わずかながらグレード感を残している。
出だしのホールはアウト、インともストレートの打ち下ろしで、グリーンに向かっては打ち上げていく。ジョーンズJr.設計の特徴ともいえる広々としたフェアウエーが開放感たっぷりだ。スロースターターにはうれしいホール立て。
地形はなだらかな丘陵林間で、2ホール目からはスリルとサスペンスに溢れる。アウトの2番は池越えで右は即OB、左に逃げるとバンカーと傾斜のキツいラフが待っている。視覚的にもタフなパー4だ。インの11番は、グリーンに特徴のあるパー3。4つのバンカーにガードされ、奥からの傾斜が強いグリーンは、予想以上に大きく曲がり、3パットの洗礼を受けるプレーヤーも少なくない。
その後のホールもキャラクターが立ち、さまざまなショットを要求され、プレーヤーのマインドを揺さぶる仕掛けで飽きさせない。なかでも特に印象的なのは、名物16番パー5。コース名の由来となったオークツリーが、フェアウエーセンターに待ち構えるドラマチックなホールだ。さまざまな攻略ルートが用意され、チャレンジスピリットをかき立てられる。
同CCは日本初のベントのワングリーンとして知られ、面積は平均700平方㍍とかなり広いので乗せる戦略も必要。16番も左右に大きいグリーンは奥行きが狭く、シビアな距離感が求められる。
あ~っ、やっぱり面白い。だからこそ寂しいなぁと感傷に浸っていたら、朗報が飛び込んできた。アコーディアは今年1月からPGMグループの傘下となったが、ハイグレードコースのブランド「GRAND」(グラン)の称号が付くことになったのだ。
9月から施設の改修を始める他、コースメンテナンスもその名にふさわしいレベルに仕上げるという。ただ、プレー代だけは〝GRAND〟にならないよう切に願う。
●所在地 千葉県香取市苅毛893 ●TEL. 0478-75-3131 ●開場 1982年5月30日 ●設計者 ロバート・トレント・ジョーンズJr. ●ヤーデージ 18ホール、6900ヤード、パー72