ZAITEN2026年4月号
月刊ゴルフ場批評102
「ABCいすみゴルフコース」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
「ABCいすみゴルフコース」と聞いてピンときた人は、相当なゴルフ情報通。千葉県いすみ市にあり、2011年開場ということで、キャッチフレーズは「千葉県で一番新しいパブリック」だ。 「いすみ市」は平成の大合併で、当時の夷隅郡夷隅町、大原町、岬町が統合されてできた、千葉県唯一のひらがな表記の自治体。柔らかなイメージは抱くものの、東京からのアクセスは圏央道が開通しても相変わらず不便で、最寄りインターからは20㌔もある。競争の激しい千葉県では、なかなか選択肢に入りにくいだろう。
ハンディはそれだけではない。コースレイアウトが、強烈なアップダウンと狭いフェアウエーなのだ。にもかかわらず、まずまずの人気コースらしくリピーターも多い。その秘密を探ってみる。
インターを降りて国道を左折すると、のどかな田園風景が広がる。「いすみ米」で知られる米どころだ。脱線事故により一部区間が復旧していないが、ローカル線「いすみ鉄道」の素朴な踏み切りもノスタルジック。
ところが、コースへの進入路は車でも厳しいほどの急坂。早くもコースへの不安が頭をよぎる。坂を上り切ると、こぢんまりとしたクラブハウス、ロッカー棟、ロッジが並ぶ。駐車場もコンパクトだが、その向こうには広々としたアプローチグリーンが見える。すぐ横には鳥かごのドライビングレンジ。手狭だが、どこへ行くにも近くて移動は楽そうだ。
シンプルでコンパクトなハウスで目に入ったのは、〈犬同伴プラン〉の文字だ。その要望はあっても安全面や吠える声、糞の始末などの問題で、なかなか実施に踏み切るコースは少ない。
犬につけるリードは必須で、グリーンとバンカー、レストラン立ち入り禁止などの細かいルールはあるものの、愛犬と散歩がてらにプレーできると愛犬家ゴルファーには好評のようだ。
さてとスタートだ。アウトの出だしは、なだらかに打ち下ろしていくパー5だが、「フェアウエー、あれだけ?」と思わず口にしてしまうほどの狭さだ。右はマウンド、左からは林が迫り、フェアウエー幅は20㍎あるかないか。狭いというより細い。
それでも左右に白杭は見当たらない。じつはコースにOBがないという。確かに即OBなら、刻んでいくしかないだろう。その後も強いアップダウン、どこを狙えばいいか分からないブラインドホールが続く。唯一の救いは、グリーンが素直で状態も良いこと。
それでもスコアは悪くなく、大甘のローカルルールに助けられる。具体的に言うと、赤杭は1ペナで特設ティから前進3打。隣ホールの黒黄杭を越えたときは、無罰で自分のホールに戻せる。
18ホールでバンカーはわずか18個。レギュラーティなら6000㍎を切る設計で距離も短い。そして、曲げても無罰だからスコアは当然まとまる。公式サイトには〈ゴルフの常識を解き放て!!〉とあり、やりすぎではと思うが、ベストスコア達成で喜ぶゴルファーも多いとか。うーん、楽しいと思うかどうかは貴兄次第だな。
●所在地 千葉県いすみ市国府台小倉山1800 ●TEL. 050-3786-1152 ●開場2011(平成13)年4月29日 ●設計者 戸田建設 ●ヤーデージ 18ホール、6646ヤード、パー72







