月刊ゴルフ場批評36

「真名カントリークラブ真名コース」批評

カテゴリ:月刊ゴルフ場批評

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 長引く新型コロナウイルス感染。真夏のマスクは辛すぎる。少しでもストレスを発散させようと思い、向かった先は開場44年、クラシカルな丘陵林間の「真名カントリークラブ真名コース」だ。

 到着したら、まずは2階のレストランへの直行をお薦めする。名物の手作りシュークリームの予約をするためだ。とにかくデカいが外見だけじゃなく、中のカスタードクリームもあふれんばかり。濃厚な味わいで一度口にしたら病みつきになり、お土産にしようものなら、間違いなく次回もリクエストされる。昼どきに行っても売り切れているケースがほとんどだから、朝イチで確保が基本だ。

 おや、玄関に行列ができているぞ? フェースシールドにマスク、手袋という完全防備の女性スタッフが立ちはだかり、検温、手指の消毒と厳しい体調チェック。感染対策は分かるが、検問のようなものものしさが半端ない。

 クラブハウス内も感染対策が徹底されており、至るところに設置されている消毒液はもちろん、トイレの個室でも便座クリーナーでの消毒を使用前、使用後の2回要求される。トイレ掃除に来たような気分だ。

 そんな関門をクリアして2階のレストランに向かったが、ここでもこれでもかとばかりに異様なまでの感染対策。テーブルは6人掛けくらいの大きな円卓に変更され、1㍍四方はあろうかという巨大なアクリルボードで席が4分割されている。隣の同伴者に声が届かず、さらに声が大きくなる。

 これほどまでに感染対策をされれば安心するプレーヤーも多いだろうが、それならいっそレストランはクローズしたほうがいいのではと思ってしまう。レストランの売り上げを無視できない台所事情もあるだろうが、ランチボックスでも用意してスループレーに限定するべきだろう。

 現実に引き戻されながらも、シュークリームの確保で安堵し、気分を上げてスタート。設計者は井上誠一の愛弟子ともいえる和泉一介氏。袖ヶ浦CC(千葉県)など数々の名コースを手掛けただけあって、真名コースも素晴らしいレイアウトだ。

 グリーンは厄介だが、奇をてらったホールはほとんどなく、ゆったりしたフェアウエーが手入れの行き届いた美しい樹木に囲まれ、歩いているだけで気持ちがいい。ちょっとした池のほとりにも竹囲いがしつらえられており、日本庭園風のアクセントが目に優しい。

 コース名に「こぶし」「つつじ」「くすの木」と名付けてあるだけあって、植栽にもこだわっていて、季節ごとにさまざまな花木が目を楽しませてくれる。

 ただ、どうしても許せないのが、くすの木の3番パー5と7番パー3の間に広がる人工池。庭園美にこだわりながら、この池だけ水色に塗られたコンクリートで縁取られ、どう見ても安っぽい市民プールにしか見えない。くすの木は後から追加された9ホールだが、ここにくると気分が台無しだ。

 池をかすめるようにして打っていくティショットも挑戦しがいがあって楽しめるのだから、せめて目立たない色に塗り直すべきだ。

●所在地 千葉県茂原市真名1744 ●TEL. 0475-24-5211 ●開場 1976(昭和51)年11月14日 ●設計者 和泉一介、和泉道生 ●ヤーデージ 27ホール、9888ヤード(ベントグリーン使用時のバックティ)、パー108

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