ZAITEN2024年10月号
月刊ゴルフ場批評84
「季美の森ゴルフ倶楽部」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
今回は日本では珍しい、ゴルフ場と住宅が一体の街作りが行われた「季美の森ゴルフ倶楽部」だ。
東急不動産が1994年に整備、分譲。今では1800戸ほどの住宅に囲まれたゴルフタウンとして定着している。聞けば住民の3割が、都会から移住してきた65歳以上の高齢者だとか。全員がゴルフをするわけではないだろうが、バリバリ働いた後の余生は緑に囲まれた地で過ごす、夢みたいな生活している人がいるんだな。
場所は千葉でも外房エリアの大網白里市。都心からは電車で1時間強だから通勤圏内でもある。実際、別荘ではなく自宅として暮らす人がほとんどだそうだ。
高速を下り、わずか2㌔でクラブハウスに到着。パッと見ただけでも周りの住宅街は洒落た家が多く、超高級というわけではないが「特別な街」感が漂う。その辺は東急側も考えたらしく、「和風建築不可」、「アパート マンション不可」などの建築協定を設け、統一感が保たれている。
クラブハウスは平屋に近い造りで、眼前に広がる池が印象的。ロッカーの入口には古めかしい競技委員用の帽子がかけてあって、「ちゃんとしたメンバーシップだよ」と教えてくれる。
チェックインの際も、メンバーと思しき初老の男性がフロントの女性と楽しそうにやりとりしていたりして、アットホームな感じだ。メンバーシップといっても、かなりの割合で同じ町内の住人がいるってことか。
プレーはキャディなしのセルフ。ハウス前には巨大なパッティンググリーンとアプローチ練習場もある。家から近くて気軽に行けるコースなら、カジュアルさと練習環境の充実は必須だろう。
この日はインからのスタート。おお、フェアウエーが広いな! 横幅60㍎はありそうだ。 ドライバーが伸び伸び振れるのは嬉しいが、フラットで自走式カートなのにフェアウエー乗り入れ不可はもったいない。逆サイドに飛んだら、自分のボールまでめちゃくちゃ歩かされる。高齢者も多いわけだから一考願いたい。
途中、池絡みのホールが多かったが、それほど苛烈なレイアウトではない。バックからだと距離もしっかりあり、アスリートからお散歩ゴルファーまで幅広いレベルのゴルファーが楽しめるだろう。
そう言えば、ご自慢の「フェアウェイフロント」という街区はどこだ? あれか。確かにコースに沿って住宅が立ち並んではいるが、プレーエリアからは遠い。
海外だと家の中が丸見えだったり、話し声が聞こえたりするほど家とコースが隣接しているが、そこまでオープンにするのは、日本では難しいのかもな。打球事故とかもめんどくさいだろうし。
ゴルフコミュニティに興味津々で出かけたものの、日本での限界も見てしまった感じだ。嫉妬? そう、だって簡単には手を出せそうにないもん(笑)。
コースに面した物件は、中古でも6000万円から1億円超だとか。でも、一般戸建て街区なら1000万円台からあるらしいので、余裕がある人はぜひゴルフ三昧の生活を。
●所在地 千葉県大網白里市季美の森南2-49 ●TEL. 0475-73-0109 ●開場 1993(平成5)年11月9日 ●設計者 宮澤長平 ●ヤーデージ 18ホール、7055ヤード、パー72