ZAITEN2024年11月号

出鼻から〝大コケ〟のお粗末さ

産業革新投資機構「スタートアップ支援」の節穴

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岸田文雄政権が成長戦略の柱に掲げた「スタートアップ育成5か年計画」が迷走している。ユニコーン(時価総額が10億ドル超の未上場企業)など次世代を担う有力新興企業が米中などに比べて極端に少ないことを憂えた首相の岸田や経済産業省が「官民挙げて第2のソニーを創出する」などとぶち上げ、2年前に立ち上げた国策プロジェクトだ。スタートアップに対する投資額を2027年までの5年間で10倍に引き上げ、将来的に10万社の起業を目指すという野心的な内容だが、問題は技術やビジネスモデルの潜在的な価値を見抜く「目利き力」を持つ人材が官民ともに乏しいことだろう。先兵役を自任する官民ファンド「産業革新投資機構(JIC)」が今年2月、支援第1号として鳴り物入りで出資したエネルギーテック企業「ENECHANGE(エネチェンジ)」が不正会計スキャンダルを起こし、上場廃止寸前まで追い込まれたことは、政府の取り組みのお寒い現状を象徴する。

「時代の寵児」から一転

「資金循環の活性化などを通じ、スタートアップからユニコーンに向けての成長を図っていく」。JIC社長の横尾敬介(元みずほ証券社長、会長)は23年夏に新設した400億円規模のスタートアップ支援ファンドの役割をこう喧伝してきた。そのデビュー戦となったのが電気自動車(EV)充電ステーション事業などを手掛ける東証グロース上場の新興企業、エネチェンジだった。出資額が新ファンドの投資枠全体の1割にも上ったことから、期待の高さがうかがえた。

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