ZAITEN2025年08月号
どうせ「なんちゃって改革」がオチ
【特集】国民を欺く「小泉コメ劇場」の〝猿芝居〟
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「5キロ2000円」という政府備蓄米の格安放出を号砲に幕を開けた「令和の小泉劇場」。農相の小泉進次郎は連日マスコミに登場しては「あらゆる手段を講じて異常な価格高騰を抑える」と連呼。その様子がお茶の間にウケ、各種の世論調査で石破茂内閣や自民党の支持率が回復する異変まで起きている。
郵政民営化が争点となった衆院選「郵政選挙」(2005年9月)からおよそ20年。国民は自民党郵政族や全国の郵便局長ら「守旧派」を相手に大立ち回りを演じた元首相、小泉純一郎の記憶を、息子の進次郎に重ねているのかもしれない。コメ高騰の「戦犯」とされる自民党農林族や農業協同組合(JA)グループなど既得権者を叩き潰してくれれば、溜飲も下がるというものだ。 だが、進次郎の場合、「パフォーマンスは一流でも、親父ほどの度胸や胆力はない」(永田町筋)というのがもっぱらの評判。そんな進次郎のヘタレぶりを熟知する農林族のドンで自民党幹事長の森山裕は、備蓄米の「猿芝居」で国民の目をくらまし、7月の参院選を乗り切ろうと画策している。
陰で支えた財務省
「家には支援者からいただいたコメが売るほどある」。主食の高騰に苦しむ国民の神経を逆撫でする失言で、江藤拓が農相を更迭されたのは5月21日。「コメ担当大臣」を自称して緊急登板した進次郎の動きは速かった。
就任早々、備蓄米の4回目の入札を中止。JAグループなど卸売業者を介さず、イオンやドン・キホーテなど小売事業者に直接引き渡す随意契約による放出に切り替えた。5月末には、2000円備蓄米が店頭に並び、消費者の関心を鷲づかみにした。
こんな「離れ業」を陰で支えたのは、所管官庁の農林水産省ではなく、財務省だった。物価高対策の焦点として、与野党で食料品に対する消費税の軽減税率引き下げがクローズアップされる中、国民の不満の元凶であるコメ価格高騰に歯止めをかけることで消費税減税政局を封じ込めたい思惑があった。事務次官の新川浩嗣ら中枢幹部は早くから随意契約による備蓄米の安値放出を検討していたが、「高値維持が本音」(霞が関筋)とされた農林族の前農相、江藤の下、仕掛けるタイミングを探しあぐねていた。
......続きはZAITEN8月号で。