ZAITEN2024年12月号
〝系譜〟を受け継ぐ古宮洋二社長
高速船『浸水隠蔽』で露呈したJR九州〝無法経営〟の系譜
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JR九州に激震が走った。子会社が運航する日韓高速船で今年8月に浸水隠しが発覚。あわや大惨事の不正行為の主導者はJR九州から〝天下った〟社長(当時)で、2人の担当役員も出向者だった。組織ぐるみの浸水隠しは昨年6月に続く「再犯」。さらに周到な隠蔽工作の手口が地元関係者らをあきれさせている。
浸水隠しが発覚したのは、JR九州の100%出資子会社「JR九州高速船」(福岡市)が博多−韓国・釜山間で運航する高速旅客船「クイーンビートル」(定員502人)。豪オースタル社が建造し、2020年10月に博多港へ回航された。建造費は約60億円。コロナ禍で旅客需要が激減していた時期で、日韓航路就航はそれから2年以上も後にズレ込んだ。
22年11月4日、博多−釜山航路でクイーンビートルはデビュー。従来は水中翼船「ビートル」(定員191人)など3隻で運航していたが、資金難でこの3隻は売却され、クイーンビートル1隻での運航となった。デビュー当日は日韓双方で記念式典が予定されていたが、6日前に起きた韓国ソウルの繁華街「梨泰院(イテウォン)」での雑踏事故(死者158人)を受けて中止となった。
海上保安庁による家宅捜索
就航から3カ月後の23年2月11日、クイーンビートルは釜山から博多へ航行中に浸水警報装置が作動。最大110㍑の海水が入り込んだが、ポンプで排水しながら運航を続けた。博多港に到着後、ダイバーが潜って確認したところ、船首部分に約70㍉の亀裂が見つかったものの、補修剤で亀裂を埋める応急処置を施しただけで12〜14日の3日間運航を続けた。
......続きはZAITEN12月号で。