2021年4月号

月刊ゴルフ場批評42

「湘南カントリークラブ」批評

カテゴリ:月刊ゴルフ場批評

2104湘南CC.jpg 今回は旧財閥系、三菱グループ所有の「湘南カントリークラブ」を訪れた。
 下調べのため公式サイトを開くと、そのバカ丁寧ぶりにいささか驚かされる。〈ご来場のゲスト様へ〉には、ドレスコードやマナーの後に来場時からお帰りまでの案内が17項目にもわたり事細かに列記されている。
 親切と言えば親切だが、〈カードホルダーにはご利用いただく当日貸しロッカーキーが付いています〉って、さすがに見れば分かるだろ。ラウンドもこの調子のバカ丁寧な過剰サービスなのか?
 所在地は神奈川県茅ヶ崎市。東急系のスリーハンドレッドC、芙蓉グループの芙蓉CCなど名門コースがひしめくエリアだ。
 フロントでの手指の消毒と検温は今時のコースでは当たり前だが、チェックイン後のロッカーで早くも見つけた過剰ぶり。ロッカー一つひとつに靴ベラが備えられているが、それにもご丁寧にロッカー番号が振られている。お客には何のメリットもないぞ。
 乗用カートも全組キャディ付きとあってフル装備だ。手製のニアピンフラッグにカラスよけのネット、物干し、ティッシュボックス、団扇、カイロ、クーラーボックス、虫よけと、季節に関係なく通年仕様。
 プレー中も「?」は続く。前の組が歩き出し、そろそろ打とうかとアドレスに入ったら、「前の組の50㍎以内にボールが届いたら打ち込みとみなされるので」と帯同キャディに止められた。そういえばサイトの〈エチケット・マナー〉に、〈打ち込みは、理由の如何を問わず懲罰の審査対象〉って書いてあった。懲罰かよ......。
 バンカーショット後、自分でならしてレーキを置くとキャディが置き直しにきた。レーキの先端部をバンカー内に置く決まりだと。厳密にはレーキに巻かれた赤いテープの部分をバンカーの境界に合わせて置くのだそうだ。大雑把な人間では対応できないだろう。
 横浜ロイヤルパークホテルに委託しているレストランも、一分の隙もないサービス。感染対策も微に入り細に入り、紙ナプキンに袋入りのようじが挟んであり、コースのロゴ入りマスクホルダーまで完備されている。
 極めつけは精算。クレジットカードの暗証番号をプッシュしようとしたら、「こちらをお使いください」と綿棒を出された。
 決して嫌なことをされているわけではないが、「ここまでやっています」とアピールされているようで帰る頃には疲れてしまった。
 コースは名設計家の井上誠一が絶賛した理想的な地形だけあって、アップダウンは少なめでフェアウエーも広く、比較的素直なレイアウト。意地悪な木は少なくプレーしやすく、メンテナンスも申し分ない。だからこそ......。
 コースの運営会社株主には28の三菱グループ企業が名を連ねる。完璧主義はいいが、もう少しプレーヤーの〝居心地〟やリラックスできる〝雰囲気づくり〟に心を砕いてみては。
 ゴルフ好きの三菱グループ若手社員ですら、「こんな堅苦しい思いをするなら」と敬遠している。

所在地 神奈川県茅ケ崎市赤羽根4123 ●TEL. 0467-51-0211 ●開場 1961(昭和36)年4月1日 ●設計者 井上誠一 ●ヤーデージ 18ホール、6931ヤード(平成グリーン・チャンピオンティ使用時)、パー72

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