ZAITEN2025年07月号

夢破れて不法滞在者と化す異国の地で〝奮闘する〟若者たち

【インタビュー】『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』安田峰俊

カテゴリ:インタビュー

『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』
(角川新書)/¥1,040+税

やすだ・みねとし―紀実作家。1982年滋賀県出身。立命館大学文学部卒業。広島大学大学院文学研究科博士前期課程修了。2018年に『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)で第5回城山三郎賞、19年に第50回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。他著に『民族がわかれば中国がわかる 帝国化する大国の実像』(中公新書ラクレ)など多数。


 日本政府や公的機関が使用し、その受け入れを歓迎している「高度外国人材」とは、「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することが出来ない良質な人材」であり、「産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、労働市場の効率性を高めることが期待される人材」とされています。

 一方で、〝高度〟という表現を使う以上、言葉を選ばずに言えば、〝低度〟の外国人材―年齢は若いかもしれないが、学歴・年収が低く、日本語もろくに喋れず専門知識もない。非熟練労働に従事し、国家が歓迎しているわけでもないが、好き好んでやってくる人々、という残酷な表現になってしまう在日外国人もいます。  さまざまな事情を抱えて来日した結果、不法滞在・不法就労に至るケースの中で、特にこの10年で激増した在日ベトナム人たちを中心に、外国人労働者たちの実態に迫ったのが、『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』(角川新書)です。

エスニックビジネスの展開

 不法滞在する在日ベトナム人たちはSNSで繋がり、自分たちのことを「ボドイ(兵士)」と自称します。これは不法滞在・不法就労する〝やんちゃ〟な出稼ぎ労働者として、異国の地で奮闘する自分たちを〝兵士〟に見立てたものです。  彼らは技能実習生制度などを利用して来日したものの、現代の奴隷制度のような就労現場から逃亡し、その後も日本で違法に滞在し就労を続けています。

......続きはZAITEN7月号で。

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