ZAITEN2025年12月号

作家 清武英利

【インタビュー】〝オールドメディア記者〟の現場への激励

カテゴリ:インタビュー

『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』
文藝春秋/2500円+税

きよたけ・ひでとし―1950年生まれ。75年読売新聞社入社。社会部記者として警視庁などを担当。東京本社編集委員、運動部長などを経て、2004年より読売巨人軍球団代表兼編成本部長。同年11月に専務取締役球団代表等の役職を解任され係争に。著書に『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社文庫)など多数。

「メディアの帝王」と対峙した記者から 〝オールドメディア〟の現場への激励

ゼロへの回帰

 新聞記者になってから半世紀が経ちます。プロ野球球団の代表を経て、ノンフィクション作家と、現在は3つ目の人生を生きています。『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋)は、その転機を軸にして、私自身の記憶とともに、現場で奮闘している記者たちの姿をまとめたルポルタージュです。

 生き直すことは人生を〝ゼロ〟に戻して歩むことです。失敗もあれば、惨めな経験も数えきれない。でも、ジャーナリズムの現場に身を置くことでしか得られない、緊張感や達成感、そして〝生きている〟という実感。それは決して色褪せません。

 ものを書くというこの生業を手放してしまうと、自分が何者なのかわからなくなるような、そんな怖さが常にあったのです。今は、しばしば近所の花屋のおじさんの「落ちぶれたね」という笑顔に出会います。でも生活感が滲む日常のひとつひとつが、今の自分の1部です。もはや出世はなく、肩書きもどうでもよくなりました。

 かつての仲間たちは関連会社に職を得たり、大学で教鞭を執ったり、コンサルタントのような仕事をしています。実際に私も教壇に立ちましたが、どうも自分には合わなかった。なんというか〝ふかふかのソファに座り続ける〟ことが不安で仕方ない(笑)。  

 さまざまな原稿を書き終わるたびに、「達成感」を得るのですが、不思議なことに毎回すべてをリセットしたくなる。この〝ゼロへの回帰〟が人生を支えています。

 
......続きはZAITEN12月号で。


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