ZAITEN2025年11月号

〝イバラキ〟で起こっていることは 〝保守王国〟に共通する問題

【著者インタビュー】『ルポ イバラキ 民主主義が消えていく』小林美希

カテゴリ:インタビュー

ルポ イバラキ 民主主義が消えていく
地平社/¥1,800+税

こばやし・みき―1975年、茨城県生まれ。株式新聞社、毎日新聞社『エコノミスト』編集部(契約社員)を経て2007年よりフリーに。就職氷河期世代の雇用問題や保育、医療・介護がライフワーク。『ルポ 保育崩壊』『ルポ 看護の質』『ルポ 学校がつまらない』(岩波書店)、『年収443万円』(講談社)『ルポ 中年フリーター』(NHK出版)、『夫に死んでほしい妻たち』(朝日新聞出版)ほか、著書多数。

〝イバラキ〟で起こっていることは 〝保守王国〟に共通する問題

―本書では、茨城県の大井川和彦知事によるパワハラ疑惑、ワンマン県政、県の隠蔽体質、それに忖度する地元メディアの実態を関係者の証言で告発しています。およそ民主主義があるとは言い難い状況ですが、取材を進めるうえで全国各地の問題ではないかと考えるようになったそうですね。

 茨城県のような事例は「全国あるある」なんじゃないか。月刊『地平』の編集長とそう話していたことが連載スタートにつながりました。案の定、他県でも同様の状況が起こっています。

 たとえば、宮城県の村井嘉浩知事は、2022年に全国で初めて水道事業を民営化しました。運営権を20年間10億円で民間に委託、337億円のコスト削減を目指すとのことです。村井知事は採算悪化を民営化の理由にあげているようですが、水道インフラは本来公共事業であるべきです。ほかに福祉や貧困問題など差し迫った問題があるはずなのに自らの実績のための県政になる。大井川知事も同様で、次から次へと思いつきでスピード感をもって「しなくてもいいこと」ばかりしてはいないか。

 一方、否定的、批判の声は届かない様子。茨城県の地域紙として大きいシェアを持つ『茨城新聞』は県政に関わる記事、特に知事の肝いりの施策についてと、自民党に関する記事は〝デリケート〟な扱いとのこと。パワハラ疑惑のある飯塚博之副知事の秘書が死亡したこと、自殺の可能性が高いことも茨城新聞の記者はいち早く情報を入手していたと言われていましたが、記事にはなりませんでした。茨城新聞は行政監視のチェック機能が機能しておらず、県政の広報紙と化しています。

......続きはZAITEN11月号で。




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