ZAITEN2025年09月号

世界トップレベルの使用量 全世代に広がる「薬漬け」の実態

【著者インタビュー】『ルポ 薬漬け 医療とビジネスの罠』 山岡淳一郎

カテゴリ:インタビュー

ルポ 薬漬け 医療とビジネスの罠
地平社/¥1,800+税

やまおか・じゅんいちろう―「人と時代」「公と私」を共通テーマに政治、経済、医療、近現代史など分野をこえて旺盛に執筆。時事番組の司会、コメンテーターも務める。著書に『ルボ 副反応疑い死』(ちくま新書)、『ゴッドドクター 徳田虎雄』(小学館文庫)、『田中角栄の資源戦争』(草思社文庫)ほか多数。一般社団デモクラシータイムス同人。

―世界と比較しても日本の医療は、薬剤使用量が断トツに多いとのことですが。
 はい。日本の医薬品費の対GDP(国内総生産)比率は、財務省の国際比較データ(2020年)によれば、国家財政が危機的なギリシャに次いで2位。アメリカが3位です。日本の医薬品費も自由診療が主体で「1日入院したら100万円かかる」とされるアメリカに次ぐ2位です。  

 その要因のひとつとして、多国籍のビッグ・ファーマ(巨大製薬会社)の日本市場への攻勢があげられます。たとえばイギリスのロンドンに本社を置く巨大製薬会社、グラクソ・スミスクライン(GSK)が1990年代にパキシルという抗うつ剤を開発しました。GSKは「うつは心の風邪」という広告を打つなどキャンペーンを展開、身近な病気であると不安を煽り、うつ病の認知度を高めました。しかしパキシルに自殺企図や自傷、内臓障害などの深刻な副作用がみつかり、各国で子どもへの投与は非推奨。GSKは提訴され、莫大な罰金を課せられましたが、2012年、和解金を払ってパキシルの販売を続けます。

 ところが、GSKは2024年に突然パキシルの販売を中止しました。特許の期限切れが影響していると推測されます。特許が切れ、成分がほとんど変わらない安価な後発薬が販売されれば、パキシルの販売を続けても儲かりません。ここからもビッグ・ファーマが利益最優先でグローバルに荒稼ぎしていることがわかります。 「政治とビジネス」も密接に絡んでいて、コロナ禍のさなかに当時の菅義偉首相は「一日100万回接種」を掲げ、閣僚がアメリカのファイザーやモデルナの首脳に掛け合って新型コロナワクチンを大量に仕入れました。

......続きはZAITEN10月号で。

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