ZAITEN2025年11月号

経産省が〝完全国有化〟を画策 東京電力に迫る

東京電力 経産省が完全国有化目指すも「資金繰り破綻」寸前

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「約束が再び破られた。東京電力ホールディングス(HD)の再建スキームは破綻したということだろう」。東電のメーンバンクの大手行幹部は苦々しく呟いた。  

 東電や経産省は当初2024年度内に予定していた新たな再建計画「第5次総合特別事業計画(5次総特)」の策定を先送り。その際「25年夏までにはお示しする」(東電幹部)と約束しながら、それすらも果たせなかったのだ。収益改善の柱と当て込んできた柏崎刈羽原発(KK・新潟県)の再稼働の時期が見通せないことを強調しているが、要は経営の著しい悪化で、頭脳明晰な経産官僚をもってしても「収益計画の辻褄合わせがもはやできなくなった」(霞が関筋)ということだろう。  

 フリーキャッシュフロー(事業で稼いだキャッシュから設備投資分を差し引いた純現金収支)が19年3月期以降、7期連続で赤字となる中、東電は資金繰り破綻の危機にさえ瀕している。経産省は少数与党政権下の政局混乱などに乗じ、水面下で完全国有化も含む新たな東電救済策を検討しているようだが、それは福島第1原発事故後の「東電処理策の失敗」という行政責任のツケを国民に回すことにほかならない。

稼ぐ力が衰退の一途

 実際、東電の経営の惨状は目を覆わんばかりだ。25年4~6月期にメルトダウンした1~3号機の燃料デブリ(溶融燃料)の取り出し準備にかかる費用9030億円を特別損失として計上。8576億円の最終赤字(前年同期は792億円の黒字)に転落した。

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