ZAITEN2026年2月号
莫大な開発利益狙うデベロッパーに騙されるな
【特集2】再開発で跋扈する「準備組合」の実態
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再開発を主導するかのように振る舞う「準備組合」。実質的に支配するのは大手デベロッパーだ。 しかも、住民との合意は反故にされることも多い。「準備組合」の闇を、再開発地域の住民らに聞いた。
東京の都心部で主に実施されているのは、第一種市街地再開発事業。土地の高度利用によって生み出される「保留床」を、新しい居住者や営業者への売却などにより事業費をまかない、従前からの建物や土地の地権者は、従前の資産の評価に見合う再開発ビルの床を受け取る「権利変換方式」で主に進められる。住民が主体で、住民が自らの発意に基づいて取り組むのが大前提だ。
ただ、実態は異なる。再開発の対象地域にはいつの間にか準備組合が立ち上がり、居住者や地権者のところに再開発への同意を取りに来る。「この住宅は1億円で評価される」「あなたはタワーマンションの最上階に入居できる」などと金額や条件を提示されて、同意書にサインする人は多い。 ところが、準備組合から本組合に移行して、本格的に再開発が始まると、1億円と言われた評価額が大幅に減額されることがある。準備組合との約束が反故にされるのだ。
しかも、地権者側が「約束不履行」で訴訟を起こしても、準備組合が行った約束や合意は法的拘束力をもたないとして、裁判所には却下されてしまう。その結果、財産上の不利益を被ったり、生活の場が失われたりするケースが相次いでいる。
この問題が国会で取り上げられたのが2025年11月28日の衆議院国土交通委員会。立憲民主党の阿部祐美子議員が、準備組合は約束を守らず法的責任も負わないのに、地権者の同意だけ本組合に引き継がれるのは地権者に不平等だとして、ルールや手続きに欠陥や瑕疵があるのではないかと質した。これに対して、金子恭之国土交通大臣は次のように答弁した。
「準備組合は事前に地権者の意見を丁寧に集約していくなどの役割が期待されるものでございます。一方、法的手続の前段階における任意の組織であり、地域の実情に応じて様々な形があるため準備段階において一律の法的規制を行うにはなじまないと考えております」
この答弁は準備組合が法律の範疇にない存在であることを、国が初めて認めたものだ。
準備組合を信じる必要はない
この答弁に「びっくりした」と感想を漏らしたのが、「泉岳寺周辺地区・地権者の会」の代表Y氏だ。地権者の会は、あるデベロッパーが東京都港区で推進している「泉岳寺周辺地区市街地再開発計画」に対する住民団体で、計画は中断中だ。Y代表は大臣答弁によって、準備組合に同意書を出す根拠はなくなったと指摘する。
......続きはZAITEN2月号で。







