ZAITEN2025年09月号
弁護士
【著者インタビュー】『政治資金規正法』 竹内彰志
カテゴリ:インタビュー
『政治資金規正法』
政治活動と民主主義のルールブック
中公新書/¥940+税
―「政治とカネ」の問題には裏金や汚職といったダーティなイメージが思い浮かびます。
政治家の収支の現実というのは、いわゆる中小企業の財務というのが実態に近いイメージです。事務所の家賃、スタッフの人件費、必要な事務用品代、広告宣伝費などの費用が、おおよそ各政治家共通の支出として存在しています。一方で収入、つまり〝お金の集め方〟は政治家個人や政党によって異なります。
そうした現実の「政治とカネ」の実態と、それを法的に規制する政治資金規正法の成立と改正、その背景にあった歴史的な経緯をまとめたのが『政治資金規正法』(中公新書)です。
本書で詳しく解説していますが、政治資金をめぐる規制の柱は大きく分けて2つあり、1つは資金移動自体を規制するというもの。もう1つは、情報公開など透明性を高めるための規制です。
いわゆる自民党派閥の裏金問題に端を発した、2024年の政治資金規正法改正議論においても象徴的ですが、政治資金の移動をめぐる規制の議論というのは、結局のところポジショントークにならざるを得ません。というのも、政党ごとに政治資金の〝集め方〟が異なるからです。
企業団体献金に強く依存する自民党、労働組合に支えられている立憲民主党、あるいは政党支持者からの個人献金や政党機関紙からの収入を基にする日本共産党といったように、それぞれ集め方に特色があるわけです。そのため、企業団体献金の依存度が低い立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などは企業団体献金の全面禁止を訴えますし、日本共産党などは政党交付金を受け取らずに党運営を行っている姿勢から、税制による政党助成金制度の廃止にまで踏み込んでいます。
......続きはZAITEN9月号で。