ZAITEN2025年12月号

【対談】佐高信の賛否両論

佐高 信 vs. 安田浩一「差別と偏見の先には『殺戮』がある」

カテゴリ:インタビュー

やすだ・こういち―1964年生まれ。フリージャーナリスト。非正規雇用、外国人労働者、ヘイトスピーチ、ネット右翼など人権と差別を中心に取材・執筆している。24年4月より朝日新聞の書評委員。著書に『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』(講談社)『ヘイトスピーチ「愛国者」たちの憎悪と暴力』(文春新書)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)、『「右翼」の戦後史』(講談社)、『地震と虐殺1923-2024』(中央公論新社)など他多数。

佐高:『地震と虐殺 1923−2024』(中央公論新社)、読ませていただきました。  

 デマによって暴徒化した民衆に虐殺され、地震とは関係ない5000人以上の犠牲者を出した関東大震災の真実を、東京、千葉、埼玉、神奈川から大阪、福島など広範囲にわたって取材し、新たな記録を発見した骨太のルポルタージュです。優れたジャーナリズムを顕彰する「JCJ賞」の大賞も受賞されました。受賞おめでとうございます。

安田:ありがとうございます。

佐高:安田さんは、「ヘイトクライム問題」を長年追っていますが、年々ひどくなってきている感じがしませんか?

安田:はい、そう感じます。特にひどくなってきている、ヤバいぞって感じるタイミングで、佐高さんとはお会いする機会が増えるわけですが(笑)。確か「ビッグレスキュー東京2001」の頃にもお会いしましたよね。

佐高:石原慎太郎が東京都知事だったとき、防衛庁と在日米軍が共同でおこなった前代未聞の大防災訓練「ビッグレスキュー東京2001」のことだね。「防災」の名を借りた「大軍事演習」ではないかと、当時はだいぶ問題視されていましたよね。

安田:ええ、でも東京都民の中から、この訓練に対して多くの批判の声が出たわけでもなく、どこか受け入れる〝空気感〟みたいなものがありました。

佐高:石原慎太郎といえば、元は「キワモノ」扱いだったよね。1973年の「青嵐会」結団式で、血判を発案して、浜田幸一や中川一郎らに左手の小指をかみそりで切らせて会員名簿に血判状を捺させたり......。こんな「キワモノ」だからいつか消えていくだろうと。ところがその後、都知事になり、「主流」のようになってしまった。  最近の話題としては、「女性版・青嵐会」みたいな高市早苗が第104代内閣総理大臣に指名された。高市政権の運営の先行きについてどう思われますか?

安田:まず、戦後最悪の「極右連合政権」となるのではないかと危惧しています。


......続きはZAITEN12月号で。

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