ZAITEN2026年2月号

〝普通の生き方〟を支える新卒一括採用という救済

【著者インタビュー】『日本の就活―新卒一括採用は「悪」なのか』千葉商科大学准教授 常見陽平

カテゴリ:インタビュー

日本の就活 ―新卒一括採用は「悪」なのか
岩波新書/¥900+税

つねみ・ようへいーー評論家。千葉商科大学基盤教育機構准教授。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランスを経て現職。主な著書に『50代上等!―理不尽なことは「週刊少年ジャンプ」から学んだ』(平凡社新書)など多数。

―「新卒一括採用」に対する根強い批判について、どのように考えますか。
 新卒一括採用についての問題は、私がまさに就職活動をしていた30年前から指摘されていました。学生だった私自身ですら、新卒一括採用に対する疑問を抱いていました。  

 この10年の動きを見ても、イデオロギーの左右を問わず、政財界のほか様々な領域から「廃止」ないし「見直し」の声はむしろ大きくなっています。  

 大学制度が整備された19世紀末にルーツを持つ新卒一括採用は、特に戦後の高度経済成長期以降、エリート校などを対象とした〝青田買い〟や内定の早期化といった、現在では〝定番化した問題点〟が取り上げられてきました。しかしながら、一定の指針やルール化などの改善を繰り返しながら、慣行そのものは維持されてきたことも事実です。 『日本の就活―新卒一括採用は「悪」なのか』(岩波新書)は、長年多くの批判に晒されながらも、慣行の根幹自体は維持されている事実に着目し、学生、企業、大学、社会全体の視点から「なぜ新卒一括採用が必要なのか」を論じ、批判に対して真摯に向き合う意図で執筆しました。 ―現代ではどんな点が問題とされていますか。  

 私も改善すべきだと考えているのは、ハラスメントの問題です。特に女子学生に対するセクハラについては、本書で詳しく解説していますが、厚生労働省の資料等から、面接時やインターンシップの際に、30%以上の女子学生がセクハラを受けたと答えたデータもあります。人口減少、人材不足という社会情勢から、今後も基本的には売り手市場が続くとは予想されますが、採用活動において、企業と学生との力関係は基本的に前者のほうが優位です。ハラスメントを含めたコンプライアンス意識を企業側が高く持つことは、もはや必須と言えます。  

 一方で、現場の解像度の低さ、専門性の欠如と思われるような感情的な批判も多いです。


......続きはZAITEN2月号で。

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