ZAITEN2026年1月号
犯罪被害者を取り巻く〝過酷で理不尽〟な現実
【インタビュー】「犯罪被害者を取り巻く理不尽な現実」 弁護士 上谷さくら
カテゴリ:インタビュー
『犯罪被害者代理人』
(集英社新書)/¥1,000+税
かみたに・さくら―弁護士。保護司。福岡県出身。青山学院大学法学部卒業後、毎日新聞記者を経て2007年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。関東交通犯罪遺族の会(あいの会)顧問。こども性暴力防止法準備検討会構成委員。
犯罪被害者に代わって、司法手続きやマスコミ対応に尽力する弁護士の 視座から司法、メディア、社会の課題を考える―。
―犯罪被害者をとりまく現実はどのようなものでしょうか。
犯罪に巻き込まれるというのは、災害などと同様に予期できないものです。ある日突然、一方的に被害者になってしまうのです。また、自然災害と違って、被害者になること自体を予め想定しながら日常生活を送っているひとは、ほぼ皆無です。
そもそも、犯罪の種類も非常に多岐に渡ります。交通事故や医療事故、暴行や性被害に遭うかもしれない。詐欺や放火に巻き込まれるかもしれない。犯罪の被害者になるというのは、実際にどんな状況に陥って、日常生活にどんな影響があるのか、ほとんど想像したことがないようなことから始まります。何よりも精神的に非常に辛いものです。
たとえば、自動車に乗った家族が交通事故に遭って、同乗者が亡くなってしまい、自分も大ケガを負ったとします。その人は、死亡事故の遺族であり、ケガを負った被害者本人でもあるわけです。ケガの治療だけでなく、大切な家族を失った心的な負担は筆舌に尽くしがたいもののはずです。
......続きはZAITEN1月号で。
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