ZAITEN2026年3月号

荒廃した「X」と向き合う大人たちの矜持

【著者インタビュー】『子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由』中央大学教授 岡嶋裕史

カテゴリ:インタビュー

子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由
光文社新書/¥900+税

おかじま・ゆうし―中央大学国際情報学部教授、同大学政策文化総合研究所所長、学校法人神戸学園顧問。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。博士(総合政策)。おもな著書に『Web3とは何か』、『ハンディ版 70歳から愉しむスマホとLINE』(いずれも光文社新書)など多数。

―国家によるSNSの規制が世界的に広がっています。

 アメリカ、EU、中国など、国ごとの特色や差異がありますが、とりわけ未成年に対する規制が注目されています。2025年末には、オーストラリアにおいて、16歳未満のSNS利用を禁止する新法が施行されました。X(旧Twitter)、Instagramなど10のSNSサービス事業者に対して、未成年者のアカウント凍結や新規取得を禁止する義務を負わせています。

 今後、日本でもこうした議論がはじまるかもしれません。しかしながら、日本国内で利用されているSNSと呼ばれるサービスやアプリについて、とりわけ未成年の利用禁止を前提とする議論は、炎上、ネットいじめ、メンタルヘルスへの悪影響、性犯罪のリスク―現在SNS上での問題とされる事柄の解消に繋がるのか、冷静に判断すべきでしょう。  

 少なくとも、SNSと十把一絡げにせずに、それぞれのサービスの特徴と問題の本質との関連性については注意深く分析する必要があります。

 いわゆるSNSと呼ばれるもののなかでも、「仲間とつながるサービス」と「情報を拡散するサービス」を分けて考えるべきです。『子どものSNS禁止より、大人のX規制が必要な理由』(光文社新書)は、X、Instagram、TikTok、YouTubeショート動画といった「情報を拡散するサービス」をそれ以外のSNSと分けて、現代の社会に与えている影響を分析し、規制の必要性や方向性を論じています。 ―「仲間とつながるためのサービス」としてのSNSについては、むしろより先鋭化すべきという指摘は興味深いです。

「仲間とつながる」ことの〝快〟を言い換えれば、「嫌いなひととは接触しない」ということです。本書でSNSと定義するLINE、Discord、Facebookなどは、膨大な数の個人アカウント同士の結びつきを閉鎖的な空間に閉じ込め、それぞれの空間同士の接触を避けるように設計されています。いわゆるフィルターバブルと呼ばれ、それぞれのバブルのなかで共有される情報や対立は外部に漏れにくくなります。  

 世界中と接続し、様々な情報にアクセスするインターネット黎明期の可能性という観点では、閉鎖的空間形成を目的とするSNSは、ネット社会と相性が良くないと考えていました。しかし、00年代後半以降に明らかになったように、「心地よい居場所」としてのSNSを社会は歓迎しました。

......続きはZAITEN3月号で。

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