ZAITEN2025年09月号
【対談】佐高信の賛否両論
佐高 信 vs. 南丘喜八郎「カネと世襲に支配された自民党は〝湛山〟に倣え!」
カテゴリ:インタビュー
みなみおか・きはちろう―1945年生まれ、早稲田大学政経学部卒。69年、アール・エフ・ラジオ日本に入社、報道部長、取締役論説室長を歴任し95年退社。慶應義塾大学新聞研究所兼任講師、同法学部講師などを務めた後、97年『月刊日本』を創刊し、現在まで発行人。
佐高:南丘さんとは長い付き合いだけど、『ZAITEN』の読者には馴染みがない人もいるかもしれないから、まず簡単に紹介させてください。私と同じ1945年生まれのジャーナリスト。アール・エフ・ラジオ日本の記者、報道部長・取締役論説室長を歴任した後の1997年に論壇誌『月刊日本』を創刊して、もうすぐ30年。数少ない、私が尊敬する右派言論人の一人です。
南丘:私のことなんてどうだっていいよ。それよりも最近、頭にきたことがありましてね。『WiLL』の7月号に、山上信吾という前オーストラリア大使が寄稿していて、日米の両首脳、つまり総理大臣と米国大統領による靖国神社への共同参拝を実現させるべきだと訴えていたんです。僕はその記事自体を読んだわけじゃないけど、産経新聞が「産経抄」で「素晴らしい考えだ」と紹介していたのを読んで知った。
佐高:そうなんだ。産経もサボらず読んでおく必要があるな。
南丘:要するに、日本の首相とアメリカの大統領が揃って靖国神社に参拝すれば、日米同盟はさらに強固なものになり、米中対決の中で、日米が紐帯を結んで中国に対峙する覚悟があることを世界に向けてわかりやすく示せる。それが何よりの抑止力となるというわけです。 で、その産経抄を書いている産経の記者自身も、実は安倍晋三の生前に同じ提案を2回もしたらしい。安倍は「なかなかいいアイディアだけど、実現はなかなか難しい」と返したらしいんですけどね。
佐高:「いいアイディアだ」とは安倍も言ったんだ?
南丘:だから、こいつら一体何考えているんだ、アホじゃないか。と思わざるを得ないわけだけど、こんな間抜けな発想ができてしまうのがいかにも長州だよなあ、と思ってね。僕の父方の伯父2人も戦死して祀られているらしいけど、僕はあれを戦没者のための慰霊施設だとは認めていない。長州が作った、単なる長州のための政治的な道具としか考えていません。
そもそも、あの神社に大村益次郎の銅像が建っていて、(戊辰戦争で賊軍とされた)彰義隊が立てこもった上野の山を指さしているのも気に入らない。だから僕は、靖国神社なんて成り立ちからしておかしいと思っているんです。
......続きはZAITEN8月号で。