2021年5月号

月刊ゴルフ場批評43

「千葉カントリークラブ川間コース」

カテゴリ:月刊ゴルフ場批評

2105_千葉CC.jpg 東日本大震災から早くも10年か。今回訪れた「千葉カントリークラブ 川間コース」も当時、数十カ所で地盤が崩れ、電磁誘導式カートのレールが崩壊。再オープンまで数カ月という大規模な被害を受けた。今年2月に起きた「余震」も気になるし、あのときの痛みを忘れずに過ごしたいものだ。
 さて、千葉カンといえば川間のほかに野田、梅郷と3コース合わせて計63ホールを擁する、千葉県北西部の名門だ。実際、野田C、梅郷Cは何度もトーナメントの舞台となったが、川間Cは2008年のワングリーン化とともに、キャディなしの乗用カートを取り入れ話題になった。久々に〝カジュアルな名門コース〟を愉しむか。
 コースへの進入路は枝ぶりの良い松に左右を囲まれ、「林間=名門」という至って単純な図式が刷り込まれている筆者は、自然とテンションが上がってしまう。
 フロントで記名すると、「ご紹介者様をご記入ください」ときた。ここまでは名門そのものだ。
 しかし、ロッカールームがいきなり3ランクダウン! いかに27ホールあるとはいえ、手前から奥まで50㍍はあろうかというだだっ広さで、ロッカーも安手のスティール製だから市民プールに来た感覚だ。
 マスター室前も大衆コースそのもの。乗用カートがずらりと並び、ポーターのオジサンたちが忙しそうに動き回っていた。練習場は打席待ちになるほど混雑していて、そのワサワサぶりは名門では絶対にお目にかかれない。
 コースは名匠・富澤誠造による原デザインを、川田太三氏がワングリーンに改造したもの。樹々にセパレートされ、フラットで広々としたフェアウエーに打っていく爽快感は、林間コースならではの醍醐味を感じられるが、グリーン周りがなんとも締まらない。
 かなり大きめのワングリーンで、野田Cや梅郷Cのような砲台グリーンはほとんどない。近ごろのワングリーン化したコースは、過剰と思えるほど激しいアンジュレーションをつけている。「乗せておけばOK」とならないように工夫しているのだが、ここは至って平坦。まさに「乗せておけばなんとかなる」のだ。
 高低差のないフラットな地形に、ほとんど歩かなくて済む電磁誘導式カート&フェアウエー走行というシステムも不思議。自走カートだとグリーン後方まで誰かが運転しなければならないが、そこをリモコンで進めることができる。ボール近くまでカートで行けてグリーン周りを歩くだけでは、人間がダメになるに違いない。
 プレー後、会計をしたら「コロナ対策費1100円」が含まれていた。フロントでの検温、レストランのパーテーション......。どこでもやっていることだと思うが、ここだけは名門の意地を発揮か。
 カジュアル化と豪語してもこれでは大衆コース。野田C、梅郷Cというチャンピオンコースで四苦八苦のメンバーたちが、川間Cに癒やしを求めにくるだけのコースかもしれないが、優しくしすぎだろう。せっかくの「千葉カン」でのプレーなんだから、もう少し満足感を味わえる工夫がほしい。

所在地 千葉県野田市中里3477 ●TEL. 04-7129-4111 ●開場 1957(昭和32)年11月9日 ●設計者 富澤誠造 ●ヤーデージ 27ホール、1万488ヤード(チャンピオンティ使用時)、パー108

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