ZAITEN2023年002月号

民営化しても改悪ばかり続く郵便サービス

日本郵政「親方日の丸回帰」で負のスパイラル

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 郵政民営化から15年が過ぎたが、日本郵政グループの経営は八方塞がりだ。稼ぎ頭の金融2社(ゆうちょ銀行とかんぽ生命)が超低金利の長期化や保険の不正契約問題の後遺症などで収益力をガタ落ちさせる一方、日本郵便も取扱量の減少に歯止めが掛からず、新たな成長事業も見出せない。日本郵政の株価が一時1000円の大台を割り込むなど株価低迷にも経営陣は無為無策の体で、投資家からは経営刷新を求める声すら上がり始めている。

 そんな暗いムードの中で一人気を吐くのが、自民党の「集票マシーン」とされ、郵政族議員の政治力をバックに既得権益を死守してきた全国郵便局長会(全特)だ。2022年夏の岸田文雄内閣改造では全特元会長(参院議員)が郵政事業を所管する総務省の副大臣に就任。勢いづいた全特は、日本郵政と金融2社の資本関係を切り離す完全民営化路線の見直しを公然と求めるまでに増長している。収益やサービス向上などの民営化の趣旨を度外視した「親方日の丸」への回帰と言え、日本郵政グループの「ゾンビ化」は目を覆わんばかりだ。


「利益誘導丸出し」人事

「全特の元親玉でかつ、その組織の不正な支援活動を受けていた張本人が、郵政の監督官庁の副大臣とはブラックジョークにもならない」。霞が関の官僚からそう後ろ指をさされているのは、22年夏の内閣改造で総務副大臣に抜擢された自民党参院議員の柘植芳文だ。

......続きはZAITEN2月号で。

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