ZAITEN2023年11月号

本音はJA離れ?

【特集】農林中金「ヘッジファンド化」模索の皮算用

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 全国の農協で組織するJAバンクグループの総元締め「農林中央金庫(農林中金)」の経営が揺れている。今年12月には創立100周年を迎えるが、東京・有楽町の本店ビル売却やグループ職員の大規模な配置転換などリストラの嵐が吹く中、社内にお祝いムードは乏しい。  

 背景には、全国のJAバンクを通じて集めた約60兆円にも及ぶ巨額マネーをまとめて外債などで運用し、その収益を全国の農協に還元するビジネスモデルが破綻の危機に瀕していることがある。  

 米国が金融引き締め政策に転換した昨春以降、農協の食い扶持を確保するために進めてきたハイリスク・ハイリターン投資が裏目に出て、保有有価証券の評価損は膨張。ドル調達コストの上昇で収益も圧迫されている。さらに、巨大金融機関に対する国際的な規制強化の波にもさらされる中、農林中金の経営は現行のままでは持続不可能となりつつあるのだ。本流を自任する資金運用担当者の間では「投資マネーの調達なら社債(金庫債)を発行したり、富裕農家も含めた個人投資家などから直接資金を受け入れたりと、いくらでも手段はある。もはやお荷物でしかないJAバンクと手を切るべきだ」との過激な声も漏れている。

7兆円超もの投資残高

「2022年度は(米利上げに伴う相場の変調など)暴風雨の中、身を縮めていた。ただ、リスクを取りに行かないと収益もない」。農林中金が5月に開いた23年3月期決算発表の記者会見で、代表理事理事長の奥和登(1983年入庫)はこう語った。米利上げの影響でドル調達コストが大幅に増えた結果、連結経常利益は前年同期比83%減の404億円。連結純利益も同72%減の509億円と惨憺たる成績だった。24年3月末を期限とする現行の中期経営計画では、経常利益目標を1800億円と掲げているが、もはや「絵に描いた餅」が実情。3月末時点で9400億円超だった保有有価証券の評価損は足元(6月末)で1兆2200億円超に膨らんでいる。

......続きはZAITEN11月号で。

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