ZAITEN2024年03月号
月刊ゴルフ場批評77
「富士国際ゴルフ倶楽部」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
今回は歴史ある名門のようだが、これまでノーチェックだった「富士国際ゴルフ倶楽部」へ。
東名高速道路の足柄SAスマートICで下りると、丘陵地ながら棚田が広がり、空も大きく開け、眼前いっぱいに富士山が迫ってくるのだが、こちら側からの富士の眺望はなかなか新鮮だ。
やがて、まばらな松林の合間に見えてきたのは、ビッグサイズのクラブハウス。それに対して20打席70ヤードほどしかないドライビングレンジがしょぼく、やたら寂しく見える。ともかくハウスへピットイン。
キャディ付きで本格派の富士コースと、セルフでカジュアルタイプの乙女コースの36ホールで構成されるが、この日は乙女コースのラウンドだ。
立派すぎるハウスに戸惑いながらも、乙女コースのカート待機所に向かうと一列しかない。よく見ると、カートの窓に「乙女アウト○分」と表示してあるが、その後ろにはインスタートのカートが並べられている。これじゃあ、あと何組後にスタートするのかまったく分からない。緊張感MAXの素人ゴルファーのスタート前の心理をもっと理解してほしい。
1番はストレートなパー5だが、グリーンまで富士山側に向かってダラダラとした上りが続くレイアウト。まるで登山を始めたかのような感覚だ。
フェアウエーはやたらと広く、左右の樹々もまばらなので、やっぱり空が広い。どこか茫洋としたリンクスの趣さえ漂う。
その後はフラットなホールもあるが、基本的には地形をそのまま活用した造りで、突如40ヤード打ち下ろすパー3が出現したり、急激なドッグレッグがあったりと刺激的。
要注意はグリーンだ。こちらも地形を活かしており、傾斜がきつく、奥からはものすごく速くて止まらない。サイズも小さめだから実にやっかいだ。
3パットを連発しながらも前半終了。ランチは温かいもので暖をとろうと台湾ラーメンをチョイスしたが、スープがぬるい。他の人の頼んだポークソテーやハンバーグもイマイチだったらしく、活字では憚るほどに憤慨していた。
何はともあれインコースへ。出だしは穏やかなホールだったが、2ホールも進むと耳をつんざく爆音が。コースのすぐ脇にレーシングサーキット「富士スピードウェイ」があるのか。こりゃ近い、近すぎる。飛行機の騒音とは違うが、ところどころパートナーとの会話が不自由なほど
加えて不可解だったのは、公道にもっとも近い12番だった。ボールは左のカート道方向へ。まぁ大丈夫だろうと行ってみたら、カート道の内側にOB杭があった......。カート道の左側には平坦なラフがあり、十分にプレー可能なエリアがあるのにだ。公道へ打ち込まないための対策だろうけど、ゴルファー心理で考えれば、せめてOB杭はカート道の外側じゃないかな?
総論――。 まるでレーサーになったかのような、気が抜けない1日だった。いろいろな意味で疲れたよ......。
●所在地 静岡県駿東郡小山町用沢1442-23 ●TEL. 0550-78-0211 ●開場 1961(昭和36)年3月21日 ●設計者 三菱地所、相山武夫 ●ヤーデージ 富士コース18ホール、6501ヤード、パー72、乙女コース18ホール、6267ヤード、パー72