ZAITEN2024年04月号

月刊ゴルフ場批評78

「成田東カントリークラブ」批評

カテゴリ:月刊ゴルフ場批評

2404_成田東CC①.jpg 千葉県の「成田東カントリークラブ」だが、バブル時代を知るゴルファーなら「成田スプリングスカントリー倶楽部」の名称のほうがピンとくるかもしれない。当時は、緑営グループの運営コースで、最盛期には「○○スプリングス」というコースが10以上もあった。 「スプリングス」の名の由来は、創業者で芝の研究者だった吉崎満雄氏が、独自に開発したという「スプリングスベント」という芝の品種。年間を通して好コンディションを保つことから、「スプリングス=高速グリーン」というイメージも定着していた。

 しかし、同グループは2003年に民事再生法の適用を申請。その後、アコーディアグループ傘下となり、コース名も現在の名に変わった。  

 スプリングス時代は男女ツアーを開催しており、18番ホール奥には、コンクリート製の重々しいギャラリースタンドが常設され、トーナメントコースとしてそれなりの存在感を示していたが、成田東CCに名称が変更されてからも手ごわいレイアウトと高速グリーンは健在で、競技志向のゴルファーの人気を集め、現在もクラブ対抗戦「関東倶楽部対抗」の常連クラブとして名を馳せている。

 今回、クラブハウスをリニューアルしたと聞いて久々に再訪してみた。かつてのトーナメントコースの今を探ってみよう。  

 特殊な車寄せは変わっていない。進入路から玄関直前にくると、ほぼ直角に曲がらなければいけない。この日も後続のクルマに追突されそうになった。  

 玄関にいたポーターは不在で、〈リニューアル中につき、キャデイバッグはハウス内を通ってマスター室側までお運びください〉との案内。後日、サイトを確認したらまだあったので予定は不明だが、アコーディアなら驚かない。

 フロントは有人のチェックイン。確かにハウス内はきれいになったが、ロッカーやトイレまでの案内が、カーペットに描かれたアイコンに従うようになっている。ファミレスに来た感覚だ。  

 肝心のコースはどうか。ティーイングエリアやフェアウエーなどは、冬季ということもあって許容範囲だが、グリーンが......。かなりの割合で芝がなく、土がむき出しになっている。昨夏の酷暑にやられてしまったようだが、これがあのスプリングスベントとは。ホールによっては許せるグリーンもあったが、当時を知っているだけにショックが大きい。

 パッティングでの転がりが不安定なだけでなく、土の部分は表面の硬さがマチマチで、ボールの落ちる場所によってまったく止まらなかったり、急にベタっと止まったりと、アプローチの距離感が掴めない。  

 コースレイアウトはオーソドックスなホールもあるが、フェアウエーが崖で寸断されていたり、左右池のホールなど苛烈なホールも多く、やっぱり上級者向き。

 名物の最終18番パー5は青ティで600ヤードもあるうえ、池をジクザグに越えていく。これだけタフなレイアウトなんだから、グリーンはちゃんと管理してくれないとメンタルが削がれる......。


●所在地 千葉県香取市山倉1367 ●TEL. 0478-79-2211 ●開場 1982(昭和57)年11月23日 ●設計者 吉崎満雄 ●ヤーデージ 18ホール、7122ヤード パー72

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