ZAITEN2024年05月号

重すぎる「失われた8年」負のレガシー

ゆうちょ銀行「老害・池田退任」でも前途多難

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「全くの期待外れ」(金融庁幹部)、「もっと早く退くべきだった」(大手証券幹部)。8年間も〝宮仕えトップ〟として汗をかきながら、霞が関や市場でここまで酷評された人物はそういない。ゆうちょ銀行が3月31日付で社長の池田憲人(76歳、1970年横浜銀行入行)が退任し、後任にゴールドマン・サックス(GS)証券出身で副社長の笠間貴之が昇格する人事を発表した。  

 地銀最大手の浜銀で代表取締役CFO(最高財務責任者)まで上り詰め、2003年に経営破綻した足利銀行の頭取として経営再建を担った池田は16年4月、「豊富な金融界での人脈も活かし、銀行の将来象を描いてほしい」(金融庁幹部)と期待され、ゆうちょ銀社長に就いた。だが、最大のマンデートとされた地銀との本格的な協業が一向に進まず、業績も低迷し、株価は15年11月の上場初値を下回る惨状だ。  

 近年はゆうちょサービスのデジタル対応の遅れが目立つことなどから行内でも「老害」(中堅幹部)などと後ろ指を指されてきた。金融庁や共管する総務省はこれまで池田交代を何度も画策したが、メガバンクOBなど外部からの後任探しに失敗。今回は「池田自身がそろそろ潮時と決断した」(金融庁幹部)というが、遅すぎる退任劇の波紋は広がるばかり。笠間はGS出身の「金看板」をアピールするが、所詮はトレーダー上がりの人物に200兆円もの貯金を抱える巨大金融機関の経営のかじ取りが担えるかは疑問だ。

失敗した「官製クーデター」

「(就任当時は)メガバンクのような強い銀行への変革が求められていると感じたが、あえて(企業・個人向け融資などを本格的に手掛けない)ナローパス(狭い道)を探った。(地域のために役立つ)共創ビジネスを8年間強く意識してきた」。3月1日の社長交代会見で、池田は自らの経営実績をこう総括した。

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