ZAITEN2025年01月号

場合によっては逮捕も!

【特集】企業イメージに大打撃「労基署案件」

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 労働基準監督署(労基署)は厚生労働省(厚労省)の出先機関として、労働基準法等に違反する事業者を取り締まる機関だ。労基署は、労災保険業務や安全衛生業務を担当するが、なかでも労働基準監督官が担当する監督指導業務では、労働者等から相談、報告された事業所の法令違反に対して、立ち入り調査等の取り締まりを行う。法令違反が認められれば、是正勧告などの行政指導だけでなく、時には逮捕・起訴も行う。労働基準法等に抵触するような企業にとっては、まさに泣く子も黙る〝当局〟というわけだ。

 労働者からの相談を受けるNPO法人労働相談室の松本久文氏は、実際に労働者への支援を通して、労基署の対応について次のように語る。 〈労働者からの相談で最も多いのは、長時間労働とそれに付随した残業代などの未払い賃金に関するものです。実際に労基署に相談、あるいは告発するケースでも長時間労働、未払い賃金に関するものが多いです〉

 長時間労働、未払い賃金に関する案件は、労働者側が客観的かつ物理的な証拠が入手しやすく、企業側の責任が明白である点で、労基署が動きやすいと松本氏は指摘する。

〈たとえば、長時間労働による労災でいえば、長時間労働と精神疾患を含めた病気やケガの因果関係は医師が証明しますが、その責任が企業側にあることを証明する必要があります。労基署はいわゆる過労死ラインとされる月80時間以上の残業が確認できれば労災として認める可能性が非常に高いです。残業時間が80~100時間に達するような業務は企業に重い責任があるとみなされるのです〉

 勤怠時間や実働時間などは給与明細などでも裏付けできるため、労働者からの申請に対して、労基署は長時間労働による労災と認めるというわけだ。  こうした長時間労働を残業として計上せず賃金を支払わない企業は少なくない。 〈チェーン展開する外食企業などに顕著ですが、店舗の営業時間外の労働を残業として計上していないといった事例は非常に多い印象です。たとえば、居酒屋店などで営業終了後の深夜に翌営業日の仕込みをさせたり、新メニューの開発をさせたりします。その時間を労働時間として計上せず、企業側が不当に利益を搾取しているわけです〉(松本氏)

 当然、こうした残業代未払いは労基法違反として是正勧告が出される。労働組合や弁護士などを通して未払い分の支払いを要求されるわけだが、その金額は少額では収まらない場合がほとんどだ。

......続きはZAITEN1月号で。

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