ZAITEN2025年01月号

悪い評価はすぐ広まる

【特集】記者が出会った「良い広報」「悪い広報」

カテゴリ:企業・経済

 本誌今月号では、ENEOS、明治ホールディングス(HD)、ニコン、阪急阪神不動産、東武鉄道、毎日放送(MBS)など、掲載した多くの企業に事実確認等の取材を行った。

 大手・上場企業を中心に官公庁や関連団体なども含め、さまざまな個人・組織に対して、本誌では取材している。企業組織の場合、その窓口となるのは広報部などのマスコミ対応担当である。本誌の特性上、ほとんどの場合、企業の問題点を指摘する質問を繰り返すわけだが、そうした企業のトップや企業体質の問題と広報対応の良し悪しはまったく別だ。

 つまり、本誌が繰り返し取り上げる企業は組織として問題山積ではあるのだが、だからと言って広報対応にも問題があるかといえば、それは必ずしもYESとは言えない。とはいえ、トップの経営手腕や品行に問題があったり、ガバナンスが崩壊していたり、コンプライアンス意識が皆無といった組織は、当然広報対応もおざなりというケースは少なくない。

 本稿では、日々、企業広報への取材を繰り返す本誌が実際に遭遇した「良い広報」「悪い広報」の対応について、さまざまな視点や基準から分析してみたい。   

 そもそもだが、近年、多くの企業では広報業務が縮小している傾向がある。コロナ禍以降、リモートワークが一般化して、広報は省人化の潮流となっている。広報現場において、書店では「ひとり広報」に関連した書籍が並ぶほど、人員削減とは反比例的にタスクが増加・複雑化している。だからこそ、優秀かそうでないかの広報担当もまた顕著に二分している。

 人員配置や予算といった具体的な数値については不透明な部分が大きいが、たとえば本誌のようなメディアからの取材に対応する部署、担当者の所属はほとんどが広報部だった。しかし現在、そういったマスコミ対応部署は、株主や投資家への財務情報の発信活動であるIRと一体化した「広報IR部」となっていることが少なくない。上場企業に多く見られる組織体系である。

 また、経営戦略、経営企画といった組織の中枢部門と一体化しているケースもある。こちらも人員配置等の変化は外部からは認識しづらいが、経営中枢との一体化と考えると、業務自体は縮小しているものの、その役割についてはむしろ重視される傾向にあるとも言えるだろう。

......続きはZAITEN1月号で。

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