ZAITEN2026年11月号
「新・野球利権」に群がる奴ら
【特集1】球団オーナー会議がすすめる「野球くじ」誰が買う? スポーツジャーナリスト 小林信也
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国民的議論欠如で既定路線化
「プロ野球がスポーツくじ導入を検討へ」。突然のニュースが流れたのは7月16日。読売新聞オンラインは次のように報じている。〈プロ野球12球団オーナー会議後の記者会見で、議長を務める横浜DeNAベイスターズの南場智子オーナーが、「財源確保の選択肢の1つとしてスポーツ振興くじの検討を始めることについて、各オーナーの了承を得た。使途を中学生の部活動支援と明確にし、アマチュアを含めた野球界の総意を形成していく」と述べた〉。
長くスポーツくじ導入の舞台裏を取材してきた筆者は、開いた口がふさがらなかった。読売が賛成に回った―プロ野球がスポーツくじの対象になることを強硬に拒んでいたのは読売だ。その読売が賛成に回ったからこそ、オーナー会議の方針が転換した。南場オーナーは「財源確保」「中学生の部活動支援」を理由に挙げたが、論理的に矛盾している。
現行のサッカーなどのスポーツくじは非予想系と呼ばれるくじが中心で配当も小さく人気がない。すでに賭け金総額が25兆円規模に達するアメリカのスポーツベッティングに比べ、国内スポーツくじの市場は小さい。売上は年間1000億円程度で推移し、WINNERという予想系の商品を追加してようやく1300億円を超えるようになった。2025年度の総売上は約1380億円。このうちスポーツ振興に充てる予算は26年度で約241億円。約17%でしかない。的中金の分配率が競馬は約70%~80%だが、スポーツくじは50%。先のW杯サッカーの際、WINNERで日本の優勝に賭けて的中したらいくら稼げたか?
日本の優勝は夢のまた夢ともいえ、高額配当を期待する。ところがオッズはわずか10倍。1000円が1万円にしかならない。そんな具合だからプロ野球が賭けの対象になっても、この方法での売上はそれほど期待しないのが賢明だ。
南場オーナーは野球がくじの対象になった場合、くじの売上を中学野球の部活動支援に使うなどと語ったが、売上の使途を野球界が決定できる仕組みにはなっていない。つまり、オーナー会議の決定と読売の記事には巧妙なごまかしが隠されているのだ。
......続きはZAITEN11月号で。








