ZAITEN2026年10月号

大学ファンド「年間収益1兆円超」なのに…

国際卓越研究大・東北大への「低配分」と「出資負担」

カテゴリ:TOP_sub

 政府による10兆円規模の大学ファンドが、2025年度に運用開始以来の最高益を記録したことが明らかになった。ファンドを運用する科学技術振興機構(JST)は、今年7月に25年度の運用実績を発表。収益額は1兆1822億円だった。  好調の要因は、不透明な国際情勢や地政学リスクの影響を受けつつも、グローバル株式とグローバル債券ともに米ドル建の資産価格が上昇したこと。特に株式は年度を通じて大幅に上昇した。

 大学ファンドは政府が1・1兆円を出資し、8・9兆円は財政融資資金、つまり国からの借金で構成されている。世界的にも類を見ない官製ファンドだ。世界レベルの研究基盤構築を目指す大学を国際卓越研究大学(以下、卓越大)に認定し、運用益から最大25年間にわたって助成を行なう。  

 運用開始は22年3月。22年度の運用実績は604億円の赤字だった。その後、収益は23年度に9934億円と大幅なプラスに転じると、24年度は1882億円に一旦縮小。そして25年度は1兆1822億円と最高益を記録。累積収益額は2兆3130億円にのぼる。

 大学ファンドへの疑問点は、本誌では度々指摘してきた。財政融資資金の8・9兆円は20年間は元本償還据え置きで、その後に順次償還される。据え置き期間も利子負担が生じ、今後の金利見直しで負担が大きくなる可能性がある。  

 それ以上に、運用開始から4年が経過した現在、検証が必要なのは、大学ファンドの目的が果たされているのかという点だ。  

 目的は卓越大に認定された大学に対して必要な財源を長期的・安定的に支援すること。基本的な方針は、卓越大への配分金などは年間3000億円を上限とし、過去の運用益から6000億円を上限にバッファを確保することだ。25年度までにこの方針に必要な運用益が確保できていると言える。ただ、実際の配分には大きな開きがある。卓越大には第1期には10大学が応募し、第1号として東北大が選ばれた。

......続きはZAITEN10月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

国際卓越研究大・東北大への「低配分」と「出資負担」

JR東日本「品川再開発」は〝絵に描いた餅〟

三菱UFJ「得意絶頂」でも〝高転びの足音〟

三井住友信託銀行が強行する「過酷リストラ」

IHI・三菱重工がうなされる「原子力船」失敗の悪夢

高市財政の「暴走」で米国の〝植民地化〟

【特集】客室乗務員の「質とモラルの低下」はなぜ止まらない

【特集】鳥取三津子社長に現役機長2名が「辞職勧告」

東京電力社員と家電メーカーの〝不適切な関係〟

西武HD「回転型ビジネス」の終焉