2021年07月号

携帯電話の番号でしか本人確認できないのはなぜ?

KDDI 本人が電話しても解約できない「UQモバイル」

カテゴリ:クレーム・広報

本人確認さえできれば、どんな契約手続きも電話1本でできるはずの「UQモバイル」。しかし、自分の携帯電話の番号が分からなくなると最悪の事態に――。

 情報サイト「二階堂ドットコム」をご存じだろうか。舌鋒鋭く政治・経済・社会問題に切り込む知る人ぞ知るサイトだ。それを運営するのが二階堂豹介氏。その過激さゆえ、先日はグーグルから検索拒否まで受けたらしいが、ちょっとワシントン(米政府関係者?)に電話して事なきを得たという御仁である。

 その二階堂氏がひどく憤っている。それは、氏自らが受けたKDDIの格安携帯「UQモバイル」の酷い仕打ちに対してだ。

自分の電話番号が分からない

〈今年の4月11日のことです。KDDIから「UQモバイルの特典のキャッシュバック3000円をお受け取りください」というメールが届きました。メールには、「受付番号」と「受取期限」が記載されており、「振込は、資金移動会社のイーコンテクストを利用します」と書いてありました。

 受取期限は4月18日で、たった7日間しかありません。ずいぶん余裕のないキャッシュバックプログラムだなと思いましたが、あわてて手続に移りました。

 キャッシュバックの受け取り方法は、メールに記された指定サイトに「受付番号、自分の口座番号と契約電話番号の下4桁を入力し、口座に振込してもらう」か「ローソンの端末で受付番号と契約電話番号の下4桁を入力して、その場で3000円を受け取る」かを選べるようになっていました。

 そこで、早速指定サイトに必要事項を入力しましたが、どうしても4桁の契約電話番号でエラーになってしまいます。どうやら電話番号が違ったようで、手続きができません。

 私は複数の携帯電話会社の携帯端末を契約していて、どれがUQモバイルの番号だか分からない。そこで、自分の電話番号を教えてもらおうと、UQモバイルのコールセンターに電話しました。 「私に3000円のキャッシュバックのお知らせが来ているのですが、電話番号が分かりません。名前や住所と、契約時に登録した別の電話番号を教えますので、私の契約電話番号を教えてください」 と言うと、電話に出た女性は「その電話は分からないのですか?」「お友だちとかでは分からないのですか?」などとワケの分からないことを言うだけで、一向に携帯電話の番号を教えてくれません。「どうして住所や名前や電話番号を言っているのに教えないのか」と尋ねても「そういう方針ですので......」と一蹴。上司に代われと言っても無駄でした。

「そういう方針」がどういう方針か知りませんが、こちらが自分の情報を提供しているのに、調べようともしないのはおかしい。自分の携帯電話番号が分からなくなったり、携帯電話が行方不明になった人はどうすればいいのでしょう。  コールセンターにも、「電話番号がわからないと永遠に解約もできないってことですか?」と聞いたのですが、「当社の全社的方針です」と言うだけ。私は「詐欺じゃないか!」と言いましたが反応なし。人をバカにしています。

 料金をきちんと払っているのに、自分の携帯番号も教えてもらえず、番号が分からないから解約をはじめ他の手続きもできない。こんなことをやっているから、菅総理や総務省に携帯電話の料金を下げろと言われるのです。  頭にきて、オペレーターに「じゃあ、死亡した場合はどうするんだ」と聞いたところ、聞き取れない声でムニャムニャ言って歯切れが悪い。この人をバカにした対応はなんなのか? つくづくKDDIは酷い会社だと思いました。これでは消費者が「絶対に解約できない契約」にしているとしか思えません。

 しかし、ここまで書いておいて何なのですが、最終的に私は3000円のキャッシュバックを受け取ることができました。KDDIのかなり上にいる二階堂の草(情報員)が私の情報をサクッと調べて番号を教えてくれたからです。でも、これは私だからできるのであって他の人にはできません。  今の時代、電話をかけるときはほとんどLINE電話で、自分の携帯電話番号なんて覚えてないという人も多いのではないでしょうか?  もし、そういう人たちが携帯電話を紛失したり、故障で携帯電話が起動しなくなり電話番号を確認できなくなったら、コールセンターに電話をするでしょう。

 でも、自分の電話番号は教えてもらえない。面倒くさくなって解約しようと思っても、電話番号が分からないからそれもできない。他社に乗り換えたくなっても、本人が亡くなっても永遠に解約できないということになるのでしょうか。それとも、解約を匂わせたときだけ教えるのでしょうか?  私のクレジットカードの使用履歴を見ると「UQモバイル」として毎月数千円の金額が引き落とされています。カード会社にチャージバック(支払い拒否)をかけることも考えましたが、そうするとKDDIは、携帯電話事業者間の料金未納者情報に私を載せるでしょうから、私が一方的に悪いことになってしまう。それでは困ります。  これは総務省が行政指導すべきレベルの案件です。消費者庁も悪質業者としてホームページに掲載するレベルだと思います。

 それとも、一人数千円の契約を何としても解約させたくないほどKDDIという会社は経営が危ないのでしょうか?  ZAITENさん、あとの取材は任せましたよ! それが消費者のためになります!〉

情報保護を笠に着た不親切

 二階堂氏をもってしても、ここまで埒の明かない事態とはどういうことか。早速、KDDI広報部に取材を申し込んだ。

......続きは「ZAITEN」2021年7月号で。

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