2026年3月期の連結決算に関し、純損益で850億円の赤字になるとの見通しを2月5日に発表したニコン。昨年11月に第2四半期決算を発表した時点では200億円の黒字と予想しておきながら、一転して過去最大規模の赤字が不可避と宣う大失態を演じた。
赤字の主因は、同社が23年に840億円を投じて買収したドイツの金属3Dプリンター大手「SLMソリューションズ」の収益が期待を大幅に下回ったことだ。
GEの「捨て札」をつかまされ
ニコンは金属3Dプリンターを、かつて同社の主力だった半導体露光装置で培った技術を活かせる分野と期待していた。さらに市場自体も、自動車産業などで急速に普及すると見て年率20%を超えて急成長すると予測していた。
だが、実際には想定ほど普及が進まなかった上に、安価な中国メーカーの台頭により競争が激化。その中でニコンは優位性を示せなかった。
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外資系のプルデンシャル生命保険で今年1月、過去30年超にわたって107人の社員・元社員が約500人の顧客から計31億円を騙し取っていたことが発覚。社長が引責辞任した上、90日間の新規営業自粛に追い込まれ、金融庁が緊急の立ち入り検査を行う一大不祥事に発展した。
そんな最中、3月18日にはプルデンシャルと同じ営業スタイルで知られるソニー生命保険でも元営業社員が顧客から約22億円を借り入れ、うち約12億円を返済していないことが明らかになった。
同社はこの事案を2023年に把握していたものの、「営業社員個人による金銭貸借」と判断し、元社員を「内規違反による懲戒解雇処分」としただけで、公表すらしていなかった。
会社として弁済しない方針もすでに決めており、「一部の不届き者の暴走」として闇に葬りたかったのかもしれない。
だが、そうは問屋が卸さなかった−。 ダイヤモンド・オンラインが《ソニー生命でも「20億円」の不適切な金銭貸借が判明!》とスクープし、公表を余儀なくされた。プルデンシャルの不正が業界を揺るがす中、過去の事案とは言え、同様の不祥事にだんまりを決め込もうと考えていたとすれば、ソニー生命経営陣の常識を疑う。
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「日本企業最難関のM&A(合併・買収)」とされた米USスチール(USS)買収完了から9カ月。日本製鉄が誤算に苦しんでいる。USSの設備老朽化は深刻で当初見込んだ初年度800億円の利益は雲散霧消。
2月24日に6000億円の転換社債(CB)発行を発表し高利の買収資金の借り換えにメドをつけたとしたが、株式市場では「希薄化懸念」で逆に株価が急落した。4日後に始まった米・イスラエルのイラン攻撃による資源価格急騰で、鉄鋼業への逆風は一段と強まり「日鉄のジャンク債転落」が取り沙汰されている。
USS買収の誤算
「海外を軸とした再成長に本腰を入れる局面を迎える」。日鉄の6000億円CB発行を「調達額では日本企業で最大」(2月25日付1面記事)などとポジティブに捉えた日経は、今後の同社の課題がアメリカ、インドなどの海外事業と脱炭素に向けた成長投資の成否に掛かると論評した。
ところが、投資家は日鉄の現状に対し日経のように甘くはない。発表翌日の25日、同社株価は一時前日終値から39・9円(6%)安の624円に急落。
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「テーブルに置かれたみかんについては、職場のルールから逸脱しているため、一時的に管理者で預かっています。皆様におかれましては、職場のルールに反することがないよう、規範意識を強く持っていただくようにお願いします」
2026年の正月。JR東日本管内の複数の職場で、「お知らせ」と題し、こんな貼り紙が一斉に掲示された。各職場で文言は若干違うものの、職場に置かれたみかんを会社側が撤去した旨の内容だ。
貼り紙はこう続く。 「なお、みかんを置いた社員については返却をしますので、管理者に声をかけてください。引き取りがなかった場合には、所有権を放棄したものとして、会社の責任で廃棄します」
仰々しい貼り紙を一斉に出してまで、たかが「みかん」をなぜ問題視するのか。しかも正月早々、強制的に没収し、取りに来なければ廃棄処分にするという。
JR東の中堅社員は、こう説明する。
「単なる差し入れです。JR東日本ではかなり昔から続いている慣習で、正月から出勤している同じ職場の仲間に向けて、ちょっとでもお正月の気分を味わってください、くらいの意味合いですよ。冨田さん(現・JR東日本相談役の冨田哲郎)が社長だった時代にもあったはずです」
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日米の「暴君」が世界経済や国際金融市場を揺さぶっている。総選挙に大勝し「全知全能感」に浸る首相の高市早苗は、市場の警告も無視して消費税減税やサナエノミクスの財政拡張に邁進。日本国債や円の暴落リスクを高めている。一方、独善極まる米大統領のトランプはイスラエルの尻馬に乗せられてイランを攻撃、世界をエネルギー危機に陥れた。物価高騰と景気後退が同時進行するスタグフレーション懸念が広がり、インフレ退治と景気の下支えというトレードオフに股裂きにされた各国の中央銀行は、金融政策の方向性を決めあぐね苦悩を深めている。
中でも悲惨なのは日銀だ。政策金利が年0・75%と、物価上昇率(2025年年間で3%程度)を大きく下回る水準にあり、本来なら、中東危機を受けた広範なインフレリスクを抑える観点から利上げ路線を進めるのが金融政策の常道と言える。だが、積極財政と金融緩和で意図的に景気を蒸かして経済成長を目指す「高圧経済」を信奉する高市には、そんな経済学の常識が通用しない。
取り巻きのリフレ派の間からは、むしろ利下げや量的緩和の復活で景気を刺激するよう求める声が出ているほどだ。強烈な政治圧力を前に追加利上げを封じられた日銀は、23年4月に植田和男が総裁に就任して以降、最大のマンデートとして進めてきた金融政策の正常化路線が頓挫し、インフレ地獄に嵌りかねない危機に立たされている。
審議委員に「リフレ」派が2人
「会談は定期的なもの。細かい内容は話せないが、一般的な経済・金融情勢に関する意見交換だ」「金融政策への要望は特になかった」
2月16日、官邸で高市との会談を終えた日銀総裁の植田は、記者団にこう短くコメントしただけで足早にその場を去った。
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総選挙に大勝して強権を振るう首相の高市早苗に追加利上げを封じられる一方、中東危機に伴うインフレ対応も迫られて七転八倒の様子の日銀。そんな親元の苦境を他所に、元理事ら日銀OBは優雅な天下りライフを謳歌している。
「総裁の植田和男は利上げ路線を堅持して中央銀行の独立性を守るべきだ」。OB連中は口々に日銀執行部の政治への弱腰ぶりに苦言を呈しているが、現役幹部は「『安全地帯』にいれば何とでも言える」と愚痴ることしきりだ。
ただ、OBか現役かを問わず、国家公務員を凌ぐ厚遇を享受してきた「特権階級」ぶりには、インフレに苦しむ庶民から怨嗟の声も絶えない。ポピュリズム政治の産物とは言え、高市の国民人気はなお高い。そんな世論に向き合わないまま日銀が利上げ路線を進めようとして、どれだけ支持が得られるだろうか。
10代連続で日銀OB
「日証金、民間出身者が初のトップに」。1月下旬、ネットニュースにこんな見出しが躍った。社長の櫛田誠希(1981年入行、元理事)が4月1日付で会長に退き、後任に元みずほグローバルオルタナティブインベストメンツ最高経営責任者(CEO)で執行役専務の下山田守邦(86年旧日本興業銀行)が昇格する日本証券金融のトップ人事を報じたものだ。1950年の上場以来、10代連続で日銀OBが独占してきた日証金の社長ポストに、メガバンク出身者が充てられたことは市場でもちょっとしたサプライズと受け止められた。
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性的人身取引罪で起訴され、自殺した富豪、ジェフリー・エプスタインとの関係が取り沙汰されているのが、千葉工業大学の学長である伊藤穰一(59)。千葉工大内で物議を醸している彼のふるまいが、もう一つある。昨年春、同大の津田沼キャンパスに伊藤主導で新設された茶室だ。この茶室をめぐり、「伊藤氏による大学の私物化ではないか」との声が、関係者から噴出している。
JR津田沼駅から徒歩1分に位置する津田沼キャンパスは、約1600坪の敷地に、20階建て約百メートルの高さを誇る2棟のツインタワーがシンボルとして聳える。同大の3、4年生や院生が学び、駅前のランドマークでもあるこのタワーに、異変が起きたのは2024年の夏のことだった。
「ツインタワーの片方、2号館の最上階にはもともと、学生が自由に使える展望ラウンジがあった。富士山や東京湾が見渡せ、学生が談話や自習に使ったり、教職員がそこで来客対応をしたりするなど、日常的な憩いの場としてにぎわっていた。これが突然、改修のため閉鎖されてしまったのです」(大学関係者)
改修の理由は、このフロアに「茶室を作る」というものだ。機械や電子工学、情報システム工学等が専門の工業大学には少々型破りな組み合わせだが、その背景はすぐに明らかになった。建設が始まると、伊藤が複数のメディアに登場し、自ら推し進める学内の茶室作りと茶道論を語り始めた。
急速に茶道に傾倒
振り返ると、伊藤と茶道の関わりは短いが深い。エプスタインからの資金提供問題で、米マサチューセッツ工科大学のメディアラボ所長を19年に辞任した伊藤。帰国後、静岡県沼津市にある大正2年の別荘建築「沼津倶楽部」の継承プロジェクトに発起人として関与した。本人の説明によると、国の登録有形文化財にも指定されたこの別荘の茶室に感化され、旧知の仲である実業家・奥谷禮子の茶道教室の門を叩いたという。
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学者とも経済人ともつかぬ独自の立ち位置で、様々なプロジェクトを立ち上げては、企業をタニマチとして籠絡してきたと言われる千葉工業大学学長の伊藤穰一。だがその手腕も、千葉工大に最初に招かれた2021年前後にはすでに怪しくなっていたようだ。
かつて伊藤と直接議論もしたことがあるという某研究者は、当時、伊藤が置かれていた状況を次のように語る。
「狭い世界なので、『そろそろあいつも企業から金が取るのは難しくなってきたみたいだぞ』といった口さがない噂は耳にしていました。彼のプロジェクトに出資していた、ある日本企業の関係者が、『成果がいっこうに出ない割に自分の取り分にはうるさい』と愚痴っていたのも覚えています」
その伊藤をまず21年に千葉工大「変革センター」所長として、23年には学長に担ぎ出したのが、同学の理事長・瀬戸熊修だ。
1945年に千葉県勝浦市で生まれた瀬戸熊は、専修大学経済学部の出身。専大にはやはり同学の卒業生で、地元千葉を代表する有力政治家だった川島正次郎の家に書生として住み込みながら通ったと言われる。
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エプスタイン文書疑惑でも学長居座りで「利益誘導」疑惑
「伊藤学長はエプスタイン文書の公開後、国の有識者会議のメンバーなどを退任する意向を示し、自身が創業したデジタルガレージの専務執行役員や取締役を退任することも発表されました。しかし、学長については辞めるつもりはないようです。今のところ理事長も学長を守っていますが、今回米司法省が公開した文書からエプスタイン氏との関係を考えれば、大学の学長こそ相応しくないのではないでしょうか」
こう首を傾げるのは、千葉工業大の関係者。伊藤学長とは、エプスタイン文書を巡り世界中で注目されている伊藤穰一のことだ。
エプスタイン文書は、少女らの性的人身取引罪などで起訴され、2019年に自殺した米富豪ジェフリー・エプスタインの捜査資料のことを指す。米司法省は今年1月以降、動画や写真、Eメールなど大量の資料をインターネットで公開。世界中の政財界関係者がエスプタインとの関係が取り沙汰されて要職を辞任する事態に追い込まれているほか、刑事事件で捜査を受けているケースもある。
伊藤穰一はこのエプスタイン文書に多数名前が出てくる重要人物の1人だ。1966年生まれの59歳で、95年にインターネット関連企業のデジタルガレージを創業。暗号資産をはじめとするブロックチェーン技術やweb3など、大手IT企業のプラットフォームに依存しない分散型インターネットを推進してきた。
世界的に名前が知られたのは、2011年にマサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボの所長に、日本人として初めて就任したからだった。しかし、19年にエプスタインが起訴され自殺すると、エプスタインから寄付を受けていた大学関係者が明らかになり、伊藤はメディアラボと自身の投資ファンドが多額の資金提供を受けていたことを認める。性犯罪歴を知りながら資金提供を受けた疑いが浮上し、伊藤は所長を辞任した。
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顧客関係管理ツール世界No.1シェアを謳うセールスフォース。その日本法人は広報機能を放棄するばかりか、取材過程で杜撰な営業姿勢を露呈した―。
本誌今月号では、真意不明な新聞広告を掲載したセールスフォースを取り上げた(詳細は105頁参照)。
編集部では、事実確認のため、日本法人セールスフォース・ジャパンに取材を試みた。 まず、同社の公式サイトはそのほとんどが自社サービスを紹介するもので、問い合わせフォームも営業に関するものばかりであった。一応、代表電話の記載があったため架電したものの、こちらも営業の案内や顧客向けのサービスやツールの利用方法を音声ガイダンスで案内するのみ。 しかたなく、公式サイトの問い合わせフォームから、質問事項と事実確認の取材を行いたい旨を連絡した。
すると、翌営業日に「株式会社セールスフォース・ジャパン セールスディベロップメント本部 第4営業部のX」なる人物からメールが届いた。だが、その内容は、編集部が問い合わせた内容とはまったく無関係な、明らかに「営業」メールなのである。しかもメールの末尾は「●●様の率直なお考えをぜひお聞かせいただけますと幸いです」と宛名を間違えている。おそらく定型文のメッセージを使いまわして、宛名を修正せずに送付したのだろう。
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