ZAITEN2021年12月号

問われる製薬会社の安全意識

アステラス製薬「不良工場」は稼働できるのか

カテゴリ:事件・社会

 本誌前号で報じた、アステラス製薬の新たな原薬製造施設工事を巡る下請け業者のトラブルが、波紋を広げている。

 トラブルが起きたのはアステラス製薬子会社、アステラスファーマテック富山技術センターで進められている、免疫抑制剤「プログラフ」の原薬製造施設の新設工事。プログラフは臓器移植後の拒絶反応を抑制するための第一選択薬とされているもので、約100の国と地域で販売されているアステラス製薬の主力商品だ。  このトラブルには2つのポイントがある。1点目は、杜撰な配管工事が行われた疑いがあることだ。薬の製造過程で細菌の繁殖などが起きないように、元請けの日立プラントサービスは、下請け業者に対して配管などに傷のない加工を指示していた。ところが、2次下請けの三幸設備と4次下請のシモオカプラントエンジが5次下請けの業者に対して、「配管の内側は雑な加工で良い」と指示した。

 もう1点は、5次下請の業者が指示通りに仕上げると、施工の悪さを理由に、シモオカが工事代金を一部しか支払っていないことだ。下請け業者の自作自演とも言える杜撰な工事と代金の不払いが起きていることは、日立プラントも分かっているはずだが、本誌の質問には一切回答していない。  代金が支払われなかった業者のうち、西日本に本社を置くS社がシモオカを相手取り約6600万円余りの支払いを求める訴訟を起こしている。  S社の関係者は語る。 「工事代金を払えてもらっていない業者が、元請けの日立プラントに対して支払いを求める動きを始めました。日立プラントは業者に対して『来週まで待ってくれ』などと言いながら、結論をズルズルと引き伸ばしている状態です」

人体に影響を及ぼす可能性も

 一方で、行政を巻き込んだ事態にも発展しつつある。複数の業者が国土交通省の地方整備局に問題を訴えているほか、シモオカが本社を置く岡山県では、県土木管理部が相談を受けている。担当者は「現時点では詳細は言えない」としながらも、調査を進めていることを明らかにした。工事代金の不払いに行政は介入できないことから、建設業法に違反する行為があったかどうかを調べているという。

......続きは「ZAITEN」2021年12月号で。

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