ZAITEN2022年07月号

「不祥事のデパート」でやはり失敗した漆間改革

三菱電機〝引責前任の置き土産〟社長

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「不祥事のデパート」三菱電機の不正発覚が止まらない。2018年のゴム製品製造子会社トーカンの品質データ偽装を皮切りに続々と不正が明るみに出る一方、パワーハラスメントや過重労働による自殺者が相次いでいることも判明。昨年7月に当時社長の杉山武史、10月に会長の柵山正樹が引責辞任に追い込まれたが、後継の現社長、漆間啓は杉山の〝秘蔵っ子〟と言われ、社内の空気は澱んだまま。「漆間体制での再生は無理」との声が社内外で囁かれる。

本当は再出発を誓うはずが...

「今年3月まで40年以上にもわたり、不適切行為を継続していたことは誠に遺憾」―。4月28日の決算記者会見の席上、大型発電・変電施設向けの変圧器を巡る設計不正や検査不正の新たな発覚について、漆間は深々と頭を下げた。トップが謝罪する光景はもはや、三菱電機の会見の〝定番〟となった感がある。  

 本来、同社は4月いっぱいで品質不正問題にケリをつける予定だった。特捜出身のヤメ検弁護士、木目田裕を委員長とする外部調査委員会の作業が4月末の完了を目指し、28日の会見で漆間が「今年度から不正とは無縁の新たな三菱電機に生まれ変わるとアピールするつもりだった」という(5月9日付『日経クロステック』)。

 実際、同月1日の入社式で漆間は「私自身が先頭に立って変革を牽引する」と誓い、新入社員には社会問題の解決に自分たちの仕事がいかに貢献しているか、そのことを常に意識しながら日々の業務に当たるよう呼びかけた。  

 さらに8日には社員の有志45人を募って立ち上げた「チーム創生」が議論してまとめた組織風土改革の提言「骨太の方針」を発表。20年前の小泉改革の際に流行語になった「骨太」をわざわざ持ち出すなど「アナクロやセンスの悪さが滲み出ている」(関係者)と社内外の評判は散々だが、役員や従業員を役職ではなく「さん」付けで呼ぶなど具体的な取り組みを早々に始め、漆間は「提言はゴールでなくスタート。実行すれば風土は変わると確信している」と自信を見せていた。

......続きはZAITEN7月号で。

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