ZAITEN2023年03月号

ますます深まる「メガ脱落」の予感

【特集】木原みずほ1年「ソフトバンク」と共倒れ危機

カテゴリ:TOP_sub

「今年の干支『癸卯(みずのと・う)』にちなんで、皆さんの変革に向けた努力が花開き、実り始める年にしよう」―。メガバンクとは思えないシステム障害の連発で経営刷新を求められたみずほフィナンシャルグループ(FG)の社長に木原正裕(1989年旧興銀)が就任して1年。みずほ銀行の支店や取引先など「現場回り」を一通り終えた安堵感からか、木原本人は「再生への手応えを感じている」(周辺筋)という。冒頭のような希望的観測を繰り返しているのもそのためなのだろう。

 だが、実際にはシステム障害の後遺症や資本基盤の脆弱さを主因に、デジタル金融や海外戦略で他の2メガバンクに大きく後れを取り、明確な成長戦略を描けない有様。一方、世界的なインフレと金利上昇を背景に株式市場でユニコーンバブルがはじける中、「10兆円ファンド」が直撃を受けた孫正義率いるソフトバンクグループ(SBG)に多額の資金を貸し込むみずほ銀は焦げ付きリスクが高まり、「共倒れ」(金融当局筋)が懸念される状況だ。木原のカラ元気とは裏腹に、「メガバンク脱落」の危機は深まるばかりだ。

「SBGのXデー」

「孫さんや、うちのグループ(旧安田信託銀行)出身の後藤芳光CFO(最高財務責任者)ら幹部と固い絆で結ばれている。財務状況も逐次報告されているので、全く心配していない」。みずほ銀頭取の加藤勝彦(88年旧富士)周辺はこう強調するが、シェアオフィス企業や金融ベンチャー、仮想通貨交換業者ら米欧の大口投資先が相次ぎ破綻し、ファンド事業で昨年1~9月に5兆円を上回る赤字を出したSBGの台所が火の車なのは誰の目にも明らかだ。孫自身がファンド事業の凍結を決め、「決算発表会など表舞台にはもう立たない」と雲隠れを決め込んだことがその証左だろう。

......続きはZAITEN3月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

IT上場「SHIFT」関連会社の文化財所有に懸念

佐高 信 vs. 古谷経衡「参政党の起源は〝ネトウヨの落ちこぼれ〟」

日本製鉄〝鬼っ子〟USスチールの「深刻な危機」

令和の「信用金庫・信用組合クライシス」

東京電力 経産省が完全国有化目指すも「資金繰り破綻」寸前

【特集2】大東建託の火災保険「押し売り商法」

【特集1】「洋上風力開発破綻」で始まる〝撤退ドミノ〟

【特集1】中西社長に問われる〝責任問題〟追及の大合唱

「裏金自民党」と「カルト参政党」共闘の悪夢 哲学者 適菜 収

佐高 信 vs. 松元ヒロ「テレビで会えない芸人が見た〝モノ言えぬ社会〟の素顔」