ZAITEN2023年10月号
〝御家騒動〟の果てに内部告発もみ消し
沢井製薬「検査不正」を厚労省が隠蔽指示
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製造・品質不正問題が相次ぐ国内後発薬(ジェネリック医薬品)業界で、新たな火種が生じている。舞台は国内市場でトップを東和薬品と争う沢井製薬。
長年、正しい手順で検査をしていない後発薬があることが内部告発で判明したが、対外公表することなく、処理を進めているというのだ。さらには、本来それを是正すべき立場にある厚生労働省も隠蔽に手を貸しているというのだから尋常ではない。 背後にちらつくのは、医薬品の供給不足と沢井製薬創業家の〝お家騒動〟。一体、同社と厚労省で何が起きているのか。 「今年5月、九州工場(福岡県飯塚市)で検査不正に対する内部告発があり、明るみに出たのです」。内情に詳しい、ある沢井製薬関係者は重い口を開いた。同工場で生産する「テプレノンカプセル」という胃炎・胃潰瘍治療薬で、品質を確認するための検査が適切に行われていなかったのだ。その期間は少なくとも10年。しかも、「使用期限内の品質保証は難しい」(同社)とするだけで、不正について一切説明せずに出荷を停止し、医療機関から回収を進めているのだから悪質さが際立っている。
沢井による内部調査報告書や情報をもとに取材を進めていくと、判明した不正の概要は以下の通りである。
▽テプレノンカプセルに詰められた薬剤とカプセルで化学反応が生じ、薬の成分が体の中で溶けないという問題が2010年に発覚▽原因分析を進めるなかで、カプセルが問題と判明▽長期安定性モニタリングにおける溶出試験と呼ばれる検査を当面クリアするため、別のカプセルに詰め替えることで対処することにし、今に至る▽今年に入り、新しい担当者が正しい手順で検査した結果、異常を認め、上長に報告して事態が明るみに▽これまでの担当者2人は、「上位職がOKしているから」との引き継ぎを受けており、とくに疑問を持たなかったと証言。
日医工をはじめ多くの後発薬メーカーが検査の不正を行い、信頼を失ってきたことから、担当部署は一連の経緯を上層部に報告し、判断を仰いだ。協議したのは、会長の澤井光郎、生産部門の責任者だった現・社長の木村元彦、品質管理・保証部門のトップである現・専務の寺島徹の3人。後述する社内権力闘争から、最高幹部3人は「隠蔽するとの結論を下したのです」(同社関係者)。
社内でも隠蔽に反対する声が上がったが、寺島が「自分が職を賭けて決断し、会長の了承も得ている」と言い放ち封殺したという。
......続きはZAITEN10月号で。