ZAITEN2024年01月号

嶋田首相秘書官ら〝電力マフィア〟が画策

東京電力「原発国策会社化」計画の白昼夢

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「電力マフィアの嶋田の策謀で難航していたKK(東京電力柏崎刈羽原発)の再稼働が来春、遂に実現するらしい」―。  

 師走を間近に控えた2023年11月下旬、電力業界でこんな観測がにわかに広がった。KK(新潟県)では21年に侵入検知器の故障やIDカードの不正使用など、テロ対策上の不備が相次いで発覚。事業者の東京電力ホールディングス(HD)は「安全管理体制の杜撰さ」を理由に、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を食らい、再稼働の見通しが立たない状況が続いてきた。  

 だが、東日本大震災に伴う福島第一原発(1F)事故後に社外取締役も務めた「東電シンパ」の元経済産業事務次官の嶋田隆(1982年旧通商産業省入省)は首相の岸田文雄の筆頭秘書官という強い立場を利用して、委員長の山中伸介(元大阪大教授)ら原子力規制委メンバーをまんまと篭絡。監視カメラ設置や生体認証付き入館カード導入など形ばかりの東電の再発防止策を規制委に認めさせ、処分解除に道筋をつけた。  

 地元の同意というハードルが残るが、こちらもキーマンである新潟県知事の花角英世(元国土交通省官房審議官)が嶋田や経産省から懐柔され、原発マネーの恩恵を享受したい地元経済界の声も手伝って「再稼働ゴーサインのスタンバイに入っている」(県庁筋)という。

原発を「打ち出の小槌」に

 ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー危機対応と、地球温暖化防止の「カーボンニュートラル(CN)」を錦の御旗に国民的な議論もないままに原発回帰に大転換した岸田政権。その振り付け役の嶋田は、1Fで未曽有のメルトダウン事故を起こした東電に「免罪符」を与え、CN電源という付加価値が付いた原発が生み出す儲けをテコに、実質国有化している東電HDを再生させるシナリオを描く。その視線の先には、日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)や東海第二原発(茨城県)、東北電力の女川原発2、3号機(宮城県)、中部電力の浜岡原発3~5号機(静岡県)なども東電の下に結集させる「原発国策会社」構想がある。

......続きはZAITEN1月号で。

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