ZAITEN2024年05月号

下半身〝不良〟役員たちは去ったが―

エネオス「脱・日石支配」偽装の新経営体制

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 羊頭狗肉という言葉しか浮かばない。経営トップが2代続けてセクハラ問題を起こして失脚した石油元売り最大手、ENEOSホールディングス(エネオスHD)が、HD社長と石油製品の精製・販売などを担う中核子会社のエネオス社長にそれぞれ非日本石油出身者を充てる新経営体制を発表した。4度にわたる再編で肥大化したエネオスHDだが、経営の主導権は一貫して旧日石勢が握り、セクハラやパワハラを厭わないその体育会的なカルチャーが「前代未聞の破廉恥極まるスキャンダルの元凶」(業界筋)と批判されてきた。  

 このため、今回は「脱・日石支配」を打ち出した形だが、経営陣全体の顔触れを見れば、取締役会議長を務める会長の大田勝幸(1982年旧日石)をはじめ日石出身者が要所を固めており、新社長の宮田知秀(1990年旧東燃)が独自色を発揮できるような余地は皆無。権力基盤を持たない非日石出身トップを、大田ら旧日石勢が裏で操る新体制は「偽装」の経営刷新というほかない。

定着した「セクハラ企業」

「自分はそういうこと(セクハラ行為)は一切しない」。本誌の予想通り(2024年3月号参照)4月1日付でエネオスHD副社長から社長に昇格することが決まった宮田は2月末の記者会見で開口一番、こう宣言した。だが、セクハラをしないなんて、経営者以前に人間としての常識。社内では「新トップの第一声がこれでは先が思いやられる」(女性社員)と嘆く声がしきりだった。

......続きはZAITEN5月号で。

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