ZAITEN2025年01月号

ソニーによる買収協議の一方で、「下請けいじめ」で是正勧告

KADOKAWA執行部「無責任すぎる」現在地

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 ソニーグループがKADOKAWAの買収に向けて協議をしているとロイターが報じたのは2024年11月19日。KADOKAWAの株価は急騰し、2日続けてストップ高となった翌20日には4445円まで上昇して上場来高値を更新した。ソニーグループはKADOKAWAの株式を約2%保有し、エンターテインメント事業を成長の柱としていて、KADOKAWAの出版・アニメなどのコンテンツを拡充する狙いがあるとみられている。しかし、当のKADOKAWAは不祥事が明らかになったばかりだ。

 2024年11月12日、公正取引委員会(公取)はKADOKAWAと雑誌『レタスクラブ』を発行する子会社のKADOKAWA LifeDesignに対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に違反したとして勧告を行った。2社による違反行為はいわゆる「買いたたき」だ。

 KADOKAWAは23年1月、レタスクラブの販売収入や広告収入が減少傾向にある中、収益改善を図るため、下請事業者と十分に協議することなく、発注単価を一方的に引き下げた。買いたたかれた事業者は記事の作成や写真撮影を担当していた26名で、単価の引き下げ幅は6・3%から最大で約39%に及ぶ。4割もの買いたたきは悪質と言わざるを得ない。

 また、LifeDesignは24年4月にレタスクラブの事業を承継。下請事業者21名に業務を委託する際に、KADOKAWAが一方的に引き下げていた発注単価をそのまま適用していた。

 勧告の内容は、「レタスクラブの記事作成業務などの下請代金について、引き下げた単価を適用した時期に遡って引き上げること」、「今後、買いたたきを行わないことを取締役会で決議し確認すること」などとなっている。

 KADOKAWAは勧告が出た12日には、「多くの関係者に多大なるご迷惑をおかけする事態となりましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪し、「下請事業者との間で十分に協議したうえで発注単価の見直しを行ってまいります」とニュースリリースを出した。

 11月1日に「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」が施行されたばかり。KADOKAWAから買いたたきされた事業者の多くはフリーランスを含む個人事業主だった。フリーランス新法では、フリーランスに業務委託をする際、報酬の減額や買いたたきなど7つの禁止行為を定めている。KADOKAWAが適用されたのはフリーランス新法ではなく下請法違反だったものの、このタイミングでの是正勧告は、フリーランス新法を周知する点で大きな意味がある。しかも、出版大手のKADOKAWAが悪質な買いたたきをしていた衝撃は大きい。買いたたきをした原因についてKADOKAWAに質したところ、その回答は「現場の責任」と言わんばかりのものだった......。

......続きはZAITEN1月号で。

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