ZAITEN2025年02月号

危機感募る経産省は元事務次官を投入

【特集】ラピダス「5兆円の亡国プロジェクト」

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 次世代半導体の国産化を目指すラピダス(東京・千代田)への政府支援が膨張している。従来の9200億円に加え、政府は2024年度補正予算案に8000億円規模の追加支援を盛り込み、25年度にその中から2000億円を出資する方針。ラピダスは回路線幅2ナノ㍍(ナノは10億分の1)の超極細チップを27年から量産する計画だが、民間の出資が集まらず苦戦中。計画の実現性を危ぶむ声が止まない。 産業のコメは実らず...か

 22年8月設立のラピダス。そもそもは19年夏、当時米IBM最高技術責任者(CTO)のジョン・ケリー(70)が元東京エレクトロン会長、東哲郎(75)に「2ナノ半導体の製造を日本でやらないか」と持ちかけたのが始まり。

 IBMは2ナノ世代以降の超極細チップの製造に必要なGAA(ゲート・オール・アラウンド)技術を台湾積体電路製造(TSMC)や米インテル、韓国サムスン電子に先行し開発を進めていたが、自社に製造部門がないため、日本に受け皿となるファウンドリー(受託製造)拠点を造ってほしいとケリーを通じ依頼してきた。

 東は早々に経済産業省幹部に話を繋ぎ、同省幹部はまず、ルネサスエレクトロニクスに話を持ち込んだ。ルネサスは日立製作所と三菱電機、NECのシステムLSI(大規模集積回路)事業などを段階的に統合し、10年4月に発足。現在はロジック半導体の国内最大手だが、40ナノ㍍より先の微細化チップの自社製造を早々に断念していたため、経産省の依頼には乗って来なかった。

 国内で40ナノ世代のチップの量産技術が確立したのは08〜09年頃。ルネサス(当時の社名はルネサステクノロジ)や東芝の半導体部門(現キオクシア)が手がけていたが、資金不足の日本のメーカーはこの40ナノで微細化技術の自社開発を断念してしまう

......続きはZAITEN2月号で。

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