ZAITEN2025年06月号
小池百合子都知事はどこまで冷静でいられるか
ふるさと納税「1兆円市場」に沸く〝バカとワル〟
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2023年度の寄付額が全国で1兆円を突破し、制度を利用した納税者が1000万人に達したと報じられたふるさと納税制度。全国の納税者6000万人のうち、6人に1人が利用する計算で、社会に定着しつつある。
総務省によると、23年度の寄付額トップの自治体は都城市(宮崎県)の193億8400万円で、紋別市(北海道)192億1300万円、泉佐野市(大阪府)175億1400万円と続く。
一方で、各自治体による返礼品競争が過熱するなかで、一部の関係者や有識者から制度を疑問視する声も聞こえるようになってきた。とりわけ、納税者である住民が納税先を選べることで、多額の税が流出することになった都市部の自治体は批判的だ。24年度の住民税の減収額は横浜市(神奈川県)で304億6700万円、名古屋市(愛知県)176億5400万円、大阪市(大阪府)166億5500万円のほか、東京都特別区のうち、世田谷区110億2800万円、港区81億8600万円、大田区56億3100万円と財政への影響は看過できない領域に達しつつある。
こうした税収減に対して、東京都税制調査会は「廃止を含めて抜本的な見直しを行うべきだ」と指摘、東京都知事・小池百合子に提言を行っている。当の小池も24年8月の定例記者会見時にふるさと納税に関する質問が飛ぶと、「総合的な設計が歪んできているのは否めない」とし、「いつの間にか〝官製通販〟のようになっている」と痛烈に批判する。
それもそのはずで、前述の通り、ふるさと納税制度による都民税の流出額は1899億円にものぼっている。小池の指摘はもっともだろう。
東京都23区の首長で構成される東京都特別区長会も黙っていない。
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